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【契約書の落とし穴】工場・倉庫建設で中小企業が見落としがちな10の重要条項とは?

工場や倉庫を建設する際、多くの中小企業が「設計内容」や「金額」には細かく注意を払いますが、契約書の中身までは十分に精査していないケースが少なくありません。
しかし実際のトラブルの多くは、「契約書に記載されていなかった」「曖昧な文言があった」ことに起因します。
本記事では、工場・倉庫建設における契約書の重要条項10選を、現場の実務と照らし合わせながら解説します。
1. 瑕疵担保責任の内容と期間
完成引渡し後に不具合があった場合、どの範囲まで責任が発生するのかを明確にしておく必要があります。
一般的には構造躯体10年、内装・設備2年が多いですが、範囲・起算点・免責条件は要確認です。
2. 工期と遅延時の取扱い
「工期」は記載があっても、「天候や追加工事による延長」や「納期遅延のペナルティ」までは明記されていないことも。
不可抗力の定義や遅延損害金の有無を契約前に確認しておきましょう。
3. 検査・引渡し条件の明示
中間検査や竣工検査の内容、立会い有無、検査合格基準などを明確にしておかないと、「引渡し済かどうか」の認識ズレが生じる原因になります。
4. 支払い条件とタイミング
着手金・中間金・残金の分割条件、請求書発行〜支払いまでのリードタイムも含めて記載しましょう。
支払い遅延時の利息・違約金など、トラブル時の対応ルールも重要です。
5. 設計変更・追加工事時の合意フロー
現場では追加工事が避けられない場面も。
「口頭での依頼により無断で費用が発生していた」などのリスクを防ぐため、書面による合意ルールを契約段階で定めておくことが必要です。
6. 保険加入の義務
工事保険(建設工事保険)、賠償責任保険の加入義務を定めることで、万一の事故や第三者損害への備えとなります。
保険証券の写しを契約書に添付することも推奨されます。
7. 契約解除の条件と方法
債務不履行・資金ショートなど、契約解除の判断基準を明示しておくことで、事業継続に大きな影響を与える“想定外の中断”を防げます。
解除後の精算方法も重要です。
8. 損害賠償責任の上限設定
想定外の損失が発生した場合、損害賠償の範囲と上限が契約書に定められていないと、過大請求を受けるリスクもあります。
上限を「契約金額の●%」と設定することで安定した関係構築につながります。
9. アフター対応・是正修繕
引渡し後の不具合への対応方法、修繕範囲、連絡窓口の記載があれば、修繕義務の有無で揉めるリスクが大幅に低減します。
10. 紛争解決の手段
裁判所の管轄だけでなく、建設業界では「建設ADR(裁判外紛争解決機関)」を活用するケースも増えています。
事前に合意しておくことで、トラブルが起きた際も冷静に対応できます。
契約書は“読んで終わり”ではない
契約書は単なる書類ではなく、建設プロジェクトを成功に導くリスクマネジメントツールです。
特に中小企業の場合、リスクに耐えられる余力が限られているからこそ、契約内容を正確に把握し、交渉することが非常に重要です。





