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【補助金を受けたら注意!】建設費への会計処理と資産計上のルールとは?

  • 2025.6.11

 

工場・倉庫リニューアル時の実務ポイントをわかりやすく解説


「補助金を使って工場や倉庫を建てた場合、会計処理はどうすればいいの?」
「受け取った補助金は収益?資産から差し引くの?」

設備投資や省エネ対応、ZEB化などを目的に補助金を受け取る企業が増える中、会計処理でのミスや認識のズレがトラブルになるケースも多く見られます。特に、建設に関わる支出は金額も大きいため、正確な処理が重要です

この記事では、補助金を受けた場合の会計上・税務上の処理の違い、そして資産計上における注意点を、建設マネジメント(CM)の立場から解説します。


✅ 補助金で建設した場合、資産から差し引くの?

結論から言うと、以下のように処理方法は異なります。

会計処理区分 補助金の取扱
企業会計(財務諸表上) 建設費用は全額資産として計上。補助金は別途資本剰余金などで処理。
税務会計(法人税の申告) 補助金分は建設費から差し引いて資産計上。減価償却対象額が小さくなる。

 

✅ 補助金を受けたときの会計処理の具体例

たとえば、5,000万円の工場を建設し、1,000万円の補助金を受け取った場合:

▶ 財務会計上(企業会計)

借方:建物 5,000万円
貸方:現金 4,000万円
   資本剰余金または補助金収入 1,000万円

→ 減価償却は「5,000万円」をベースに行う。

▶ 税務会計上(法人税の計算)

減価償却対象額:5,000万円 − 1,000万円 = 4,000万円

→ 補助金相当額を差し引いて申告時に別表で調整。益金不算入として処理。

📌 補助金は“原則として収益”ではなく、課税されない代わりに、固定資産の取得原価から差し引いて処理するのが法人税法上のルールです。


 

✅ 補助金の種類による違い

補助金の性格によって、処理が少し変わるケースもあります。

補助金の例 会計処理上の分類 注意点
ZEB補助金、省エネ補助金 資産取得補助 資産計上し、税務で差し引き処理
再構築補助金(建物改修) 資産取得+経費補助の混在 経費分と資産分を区分する必要あり
自治体の防災補助 工事補助または備品購入 対象が小規模なら経費処理でもOK

 

✅ 補助金活用時のよくあるミスと対策

よくある誤解 正しい処理
補助金分も含めて建物を全額資産にしてOK? 税務申告時に補助金分を差し引いて処理が必要
全額が経費になると思っていた 建物や設備は固定資産。経費ではなく資産計上が原則
補助金収入があるから利益が増える? 税務上は益金不算入(≒利益にならない)で処理

📌 経理部門・税理士・設計会社・CM(コンストラクションマネジメント)との情報共有が必須です。

 

✅ 建設マネジメント(CM)の立場でできること

CM方式を採用すれば、補助金対象となる建物・設備の仕様やコスト配分を設計段階から管理できます。

CM会社が行う主な業務:

  • 補助金要件を満たす仕様での設計アドバイス
  • 補助対象費用と非対象費用の整理
  • 工事契約書・支払いスケジュールと会計処理の連動
  • 会計処理用の分類資料や報告書の提供

📌「建てながら会計処理を整える」ではなく、「設計段階から補助金対応を見越しておく」のが成功のカギです。


✅ 補助金を使った建設では、会計処理も“設計”が必要

成功するポイント 説明
企業会計と税務会計の違いを理解 減価償却対象額の違いに注意
計画段階から補助金条件を確認 工事後に慌てない準備が重要
専門家(CM・税理士)と連携 役割分担を明確にし、無理なく進行

AGECでは、補助金を活用した工場・倉庫の建設において、設計・補助金対応までを一括で支援する建設マネジメントサービスを提供しています。

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