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建設資材価格の推移と今後の見通し|工場・倉庫建設に与える影響とは?
近年、建設資材の価格が高騰し続けており、工場や倉庫を新築・改修しようとする企業にとって、建設コストの不透明さが大きな懸念事項となっています。
本記事では、主要な建設資材の価格動向と背景、今後の見通し、そして建設マネジメント(CM)方式を活用したコストコントロールの重要性について、プロの視点から詳しく解説します。
🔍 1. 建設資材価格はなぜ上がっているのか?
建設資材価格の上昇には複数の要因が絡み合っています。以下は主な背景です。
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ウクライナ情勢の影響(エネルギー価格・鉄鋼需給の不安定化)
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円安による輸入資材コストの上昇
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国内建設ラッシュ(2025年大阪・関西万博、再開発案件増加)
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物流コストの上昇と人手不足
これらの要素が複合的に絡み合い、特に鉄骨・コンクリート・木材・断熱材・塩ビ管などの価格が大きく影響を受けています。
📈 2. 資材別:価格推移の例(2021〜2025)
資材名 | 2021年比の上昇率(概算) | コメント |
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鉄骨(H形鋼) | 約25〜30%上昇 | 万博特需で入手困難な場合も |
コンクリート | 約15%上昇 | 原材料のセメント・砂利の価格上昇 |
木材(構造用集成材) | 約20%上昇 | ウッドショック後も高止まり傾向 |
断熱材(硬質ウレタン) | 約10〜15%上昇 | エネルギー価格の影響大 |
塩ビ管(配管材料) | 約20%上昇 | 石油化学製品全体で価格上昇 |
※地域・時期により変動あり。弊社調査ベース。
🏗️ 3. 工場・倉庫建設に与える影響
建設資材価格の高騰は、坪単価の上昇に直結します。
たとえば、鉄骨造倉庫(S造)の場合、以前は30万円/坪前後で建設できた案件が、現在は35〜40万円/坪を超えるケースも。また、断熱材や特殊設備を要する食品工場ではさらに高額になります。
資材価格が不安定な今、見積もりを取得しても**「有効期限1ヶ月以内」など短期提示**となるケースが増えています。
🧭 4. 今後の見通しはどうなる?
2025年後半〜2026年にかけて、建設資材価格は一部で落ち着きを見せる可能性もあります。
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万博後の需要減少で鉄骨等の需給バランス改善
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為替の安定化による輸入材コストの緩和
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サプライチェーン正常化への期待
しかし、人手不足や再生可能エネルギー対応への設備更新需要、ZEB対応への流れなど、中長期的には依然として価格が高止まりするリスクが残ります。
💡 建設マネジメント(CM)での対応方法
当社のようなCM会社では、以下のような方法で資材価格リスクに備えています。
● 早期調達と価格固定契約の活用
鉄骨・コンクリートなど主要資材については、早期段階で数量確定・価格契約を行うことで価格上昇リスクを回避。
● 設計初期からのVE(Value Engineering)提案
仕様や工法の見直しにより、資材使用量の削減や、代替材料の活用を通じてコスト最適化。
● 相見積・分離発注の推進
各工種ごとに見積取得・比較を行い、相場に合った適正価格で発注する仕組みを構築。
📝 資材価格の変動を見据えた建設計画を
建設資材価格の高騰は、今後の工場・倉庫建設を検討するすべての企業にとって、**「いつ建てるか」「どう建てるか」**を再考させる重要な要素です。
コストを抑えつつも、将来を見据えた最適な建設を実現するためには、建設マネジメントの視点でのプロジェクト管理が不可欠です。