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設計・施工分離発注の進め方と注意点
「設計・施工分離発注って何が良いの?」
「分離にしたらむしろ手間が増えるのでは?」
そう考える発注者の方は多いのではないでしょうか?
しかし、特に工場や倉庫などの事業用建物では、コスト透明性や品質確保の観点から、設計と施工を分けて発注する=「分離発注」方式が有効であるケースが多々あります。
本記事では、設計・施工分離発注の基本と、実務での進め方・注意点を、コンストラクションマネジメント(CM)の視点でわかりやすく解説します。
✅ 設計・施工分離発注とは?
「分離発注」とは、建物を建てる際に以下のように設計者と施工者を別々に選定・契約する発注方式です。
分離発注の構成 | 概要 |
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設計契約 | 設計事務所と直接契約し、図面作成・申請・設計監理を依頼 |
施工契約 | ゼネコンや施工会社と別途契約し、建築工事を依頼 |
📌 対になる概念は「設計施工一括方式(デザインビルド方式)」で、こちらは1社にまとめて依頼するスタイルです。
✅ 分離発注のメリット
1. コストの透明性が高い
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設計者が中立の立場で工事見積を精査
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発注者は複数の施工業者から相見積もりを取得できる
2. 設計品質が確保されやすい
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設計と施工が独立しているため、設計意図が守られやすい
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運用視点・法規制を重視した丁寧な設計が可能
3. 発注者主導の判断が可能
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工事会社の都合ではなく、発注者の立場から計画を進められる
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VE提案(コスト削減の工夫)もCMや設計者が主導可能
✅ 分離発注のデメリットと注意点
リスク | 内容 | 対策 |
---|---|---|
工程調整の手間 | 設計・施工の連携が悪いとトラブルに | CMが全体をマネジメントする体制構築 |
責任所在が分かれる | 設計ミス?施工ミス?で揉める可能性 | 設計図レビューと仕様の明文化 |
調整役がいないと混乱 | 「誰が判断すべきか」が曖昧に | 発注者側に**CM(第三者管理者)**を配置する |
📌 設計施工を分けるからこそ、全体の橋渡しを担うマネージャー=CMの存在が重要になります。
✅ 分離発注の進め方(基本フロー)
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基本計画の整理
→ 用途・面積・希望予算・将来拡張性などをCMが整理 -
設計事務所の選定・契約
→ 相性・実績・設計力・法規対応力をチェック -
実施設計とVE(コスト最適化)
→ 図面・仕様の精度を上げつつ、VE提案でコスト調整 -
複数施工会社から見積取得・比較
→ 内容・価格・実績・工期を比較し発注先決定 -
施工会社と契約・着工
→ CMが設計内容に基づき施工監理・工程・コスト管理 -
完成・引渡し・アフター管理
✅ コンストラクションマネジメント(CM)が支援する役割
分離発注では、発注者がすべてを管理するのは現実的に難しいため、CM会社が発注者の右腕としてプロジェクト全体を調整・管理します。
CMの主な業務:
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設計段階からの設計内容レビュー・VE提案
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見積取得・価格交渉・契約書作成の補助
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工程・品質・安全の第三者管理
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問題発生時の中立的な判断・調整
👉 CMがいることで、発注者は**「誰に任せるべきか迷わず、最適な判断を下せる」**状態になります。
✅ 「発注者主導」の建設には、分離発注+CMが最適解
ポイント | 理由 |
---|---|
コストを抑えたい | 相見積もり+中立の評価体制が実現できるから |
設計意図を守りたい | 施工都合での変更リスクを下げられるから |
プロジェクト全体を見渡したい | 発注者視点での調整が可能になるから |
AGECでは、設計・施工を分けて進める分離発注方式において、発注者のパートナーとして設計支援・業者選定・全体管理を行うCMサービスを提供しています。
「設計事務所やゼネコンをどう選べばいいかわからない」「プロジェクト全体を安心して進めたい」と感じている方は、こちらからお気軽にご相談ください