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設計・施工分離発注の進め方と注意点

  • 2025.5.26

「設計・施工分離発注って何が良いの?」
「分離にしたらむしろ手間が増えるのでは?」

そう考える発注者の方は多いのではないでしょうか?
しかし、特に工場や倉庫などの事業用建物では、コスト透明性や品質確保の観点から、設計と施工を分けて発注する=「分離発注」方式が有効であるケースが多々あります。

本記事では、設計・施工分離発注の基本と、実務での進め方・注意点を、コンストラクションマネジメント(CM)の視点でわかりやすく解説します。


✅ 設計・施工分離発注とは?

「分離発注」とは、建物を建てる際に以下のように設計者と施工者を別々に選定・契約する発注方式です。

分離発注の構成 概要
設計契約 設計事務所と直接契約し、図面作成・申請・設計監理を依頼
施工契約 ゼネコンや施工会社と別途契約し、建築工事を依頼

📌 対になる概念は「設計施工一括方式(デザインビルド方式)」で、こちらは1社にまとめて依頼するスタイルです。


✅ 分離発注のメリット

1. コストの透明性が高い

  • 設計者が中立の立場で工事見積を精査

  • 発注者は複数の施工業者から相見積もりを取得できる

2. 設計品質が確保されやすい

  • 設計と施工が独立しているため、設計意図が守られやすい

  • 運用視点・法規制を重視した丁寧な設計が可能

3. 発注者主導の判断が可能

  • 工事会社の都合ではなく、発注者の立場から計画を進められる

  • VE提案(コスト削減の工夫)もCMや設計者が主導可能


✅ 分離発注のデメリットと注意点

リスク 内容 対策
工程調整の手間 設計・施工の連携が悪いとトラブルに CMが全体をマネジメントする体制構築
責任所在が分かれる 設計ミス?施工ミス?で揉める可能性 設計図レビューと仕様の明文化
調整役がいないと混乱 「誰が判断すべきか」が曖昧に 発注者側に**CM(第三者管理者)**を配置する

📌 設計施工を分けるからこそ、全体の橋渡しを担うマネージャー=CMの存在が重要になります。


✅ 分離発注の進め方(基本フロー)

  1. 基本計画の整理
     → 用途・面積・希望予算・将来拡張性などをCMが整理

  2. 設計事務所の選定・契約
     → 相性・実績・設計力・法規対応力をチェック

  3. 実施設計とVE(コスト最適化)
     → 図面・仕様の精度を上げつつ、VE提案でコスト調整

  4. 複数施工会社から見積取得・比較
     → 内容・価格・実績・工期を比較し発注先決定

  5. 施工会社と契約・着工
     → CMが設計内容に基づき施工監理・工程・コスト管理

  6. 完成・引渡し・アフター管理


✅ コンストラクションマネジメント(CM)が支援する役割

分離発注では、発注者がすべてを管理するのは現実的に難しいため、CM会社が発注者の右腕としてプロジェクト全体を調整・管理します。

CMの主な業務:

  • 設計段階からの設計内容レビュー・VE提案

  • 見積取得・価格交渉・契約書作成の補助

  • 工程・品質・安全の第三者管理

  • 問題発生時の中立的な判断・調整

👉 CMがいることで、発注者は**「誰に任せるべきか迷わず、最適な判断を下せる」**状態になります。


✅ 「発注者主導」の建設には、分離発注+CMが最適解

ポイント 理由
コストを抑えたい 相見積もり+中立の評価体制が実現できるから
設計意図を守りたい 施工都合での変更リスクを下げられるから
プロジェクト全体を見渡したい 発注者視点での調整が可能になるから

AGECでは、設計・施工を分けて進める分離発注方式において、発注者のパートナーとして設計支援・業者選定・全体管理を行うCMサービスを提供しています。
「設計事務所やゼネコンをどう選べばいいかわからない」「プロジェクト全体を安心して進めたい」と感じている方は、こちらからお気軽にご相談ください

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