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設計変更で発生しがちなトラブルと対応策
工場・倉庫建設における事前対応の重要性
建設プロジェクトにおいて「設計変更」は決して珍しいことではありません。特に工場や倉庫の建設においては、施主の業務内容や設備仕様の変化により、設計図の修正や仕様変更が工事中に発生するケースも多々あります。
しかし、設計変更は工期遅延やコスト増、品質の低下など、複数のトラブルの温床ともなり得ます。本記事では、建設マネジメント(CM)会社の視点で、よくある設計変更トラブルとその対策を具体的に解説します。
設計変更でよくあるトラブル
1. 工期遅延
設計変更が発生すると、その内容を図面に反映し、関係業者と再調整する必要があります。場合によっては、すでに進んでいた工事を中断・撤去することにもなり、全体工期が大きく後ろ倒しになることもあります。
例)
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配線ルート変更に伴い、すでに施工済の壁を開口
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HVAC(空調)の位置変更でダクト再設計が必要になる
2. コストの増加
設計変更はその多くが「追加工事」として扱われ、当初の見積に含まれていない費用が発生します。また、調達済の資材が無駄になり、再購入が必要になるケースも。
例)
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別規格の扉を新たに発注
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照明計画変更で既存の配線が使えない
3. 品質低下・安全性のリスク
現場での変更指示が口頭や簡易メモだけで伝わり、図面と実施工にズレが生じるケースも少なくありません。また、急ぎで改修を行うことで仕上げが雑になり、建物の品質や安全性が損なわれることもあります。
設計変更が起こる原因
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発注者側のニーズの変化(設備レイアウト変更など)
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基本設計段階での要件整理不足
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実施設計段階での法的・構造的見落とし
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施工段階での施工不良や資材不足によるやむを得ない変更
建設マネジメント(CM)会社ができる対応策
1. 設計段階での要件整理の徹底
設計変更の多くは「初期の要件整理不足」に起因しています。CM会社が初期段階からプロジェクトに参画し、施主・設計者・設備ベンダーとの調整を行うことで、変更のリスクを事前に潰すことが可能です。
2. バリューエンジニアリング(VE)の実施
設計段階で複数案を比較し、「コストと品質のバランス」を分析することで、後々の変更リスクを未然に防ぐ設計提案が可能になります。
3. 設計変更プロセスのルール化
CM会社が設計変更のフローを明確化し、以下のような手順を踏むことで、現場の混乱を防ぎます。
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設計変更要望書の提出
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各業者との調整
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工期・コストへの影響分析
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施主からの承認取得
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現場への正式指示
4. 工事中の定例会議での進捗確認
設計変更が発生しても、**週次または月次で進捗・課題を共有する体制が整っていれば、被害の拡大を防げます。**CM会社がファシリテーターとして関係者の情報共有を促進することが効果的です。
設計変更は避けられない。だからこそ「準備」が重要
設計変更は悪ではありません。むしろ「より良い建物をつくるための必要な調整」である場合も多く存在します。ただし、その影響を最小限にとどめる「段取り」と「プロセス管理」こそが、プロジェクトの成否を分ける要素です。
建設マネジメント(CM)会社の活用により、設計・施工・発注者間の情報整理と対策立案を進めることで、トラブルを防ぎながらスムーズな設計変更が可能になります。
✅ 工場・倉庫の設計・施工管理においてトラブルを未然に防ぎたい方は AGEC にぜひご相談ください。