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ZEB設計に適した断熱材と施工方法とは?|工場・倉庫で失敗しない断熱の基本

  • 2025.6.30

近年、建築業界では「ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」対応の動きが加速しており、とくに工場や物流倉庫においても省エネ性の高い設計が求められるようになっています。その中でも、断熱設計はZEB達成のカギを握る最重要要素の一つです。

本記事では、ZEB設計に適した断熱材の選び方と施工方法について、建設マネジメント(CM)会社の視点からわかりやすく解説します。


 

ZEB設計における断熱の役割とは?

ZEBとは、建物の一次エネルギー消費量を極限まで減らし、再生可能エネルギーの導入により「エネルギー収支ゼロ」を目指す建物のことです。特に工場や倉庫といった大空間では、空調負荷が大きく、断熱性能の強化が光熱費削減に直結します。

断熱設計は、以下の目的で行われます:

  • 外気温の影響を受けにくくし、冷暖房効率を向上させる

  • 結露や温度ムラを防ぎ、製品保管環境や作業者の快適性を維持

  • 長期的な省エネ・ランニングコスト低減につなげる


 

ZEBに適した断熱材の種類と特徴

ZEB設計では、性能だけでなく施工性・コスト・耐久性のバランスが求められます。以下に代表的な断熱材とその特徴をまとめました。

 

1. 硬質ウレタンフォーム(発泡系)

  • 熱伝導率:0.020〜0.024 W/mK(非常に優れた断熱性)

  • 特徴:軽量で施工しやすく、金属サンドイッチパネルなどでも採用される

  • 用途:冷蔵倉庫、恒温恒湿管理エリアなどにも最適

 

2. グラスウール(繊維系)

  • 熱伝導率:0.035〜0.045 W/mK

  • 特徴:コストパフォーマンスが高く、既存建物のリフォームにも向く

  • 注意点:防湿対策が不十分だと結露リスクあり

 

3. 押出法ポリスチレンフォーム(XPS)

  • 熱伝導率:0.028〜0.036 W/mK

  • 特徴:耐水性・耐圧性に優れ、床スラブ下にも使用可能

  • 用途:スラブ直下の断熱や基礎断熱に適する

 

4. セルロースファイバー(自然素材系)

  • 特徴:調湿性と吸音性に優れ、環境意識の高いZEBプロジェクトで注目

  • 用途:木造倉庫や地域創生型の中小工場に向く


 

ZEB設計で注意すべき断熱施工のポイント

断熱材を選んだだけではZEBは実現できません。断熱性能を最大化するための施工管理とディテール設計が非常に重要です。

 

1. 熱橋(ヒートブリッジ)の対策

  • 鉄骨造の梁や柱部に断熱欠損が生じやすい

  • 「外張り断熱」または「断熱材の重ね施工」で熱橋を最小化する

 

2. 気密性と防湿設計の徹底

  • せっかくの断熱も、隙間風や湿気で効果が半減

  • ジョイント部・配管貫通部の気密テープ処理や、ベーパーバリアの設計がカギ

 

3. 断熱材の施工誤差の管理

  • 厚さ不足、固定ミス、材料破損などの「施工ミス」はよくある失敗例

  • CM会社の立場として、設計段階からの納まり確認と、施工時のチェック体制が必須


 

建設マネジメント(CM)会社の役割とは?

ZEB設計においては、建築設計・設備設計・施工会社・BEMSベンダーの連携が複雑化します。建設マネジメント会社は以下の点でプロジェクト全体を支援できます:

  • 初期段階での断熱仕様とコストバランスの提案

  • 熱環境シミュレーションに基づく設計最適化

  • 補助金(ZEB補助、BELS認証支援)申請とのスケジュール調整

  • 現場での品質確保(断熱材の搬入・保管・施工の指導)


 

ZEBを実現するための断熱戦略はCMの手腕にかかっている

ZEB設計を成功させるには、断熱材の性能だけでなく、それを最大限活かす施工計画と品質管理体制が不可欠です。建設マネジメント方式(CM方式)であれば、複数の専門業者と連携しつつ、事業者の立場で最適な選択を行うことが可能です。

ZEB対応の倉庫・工場をご検討の際は、断熱計画段階からAGECにご相談ください。

 

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