AGECブログ

小規模製造業の設計ガイド|失敗しないための5つの基本方針

  • 2025.7.21

中小・小規模製造業にとって、自社工場や作業所の新設・移転・増改築は、将来の事業展開を大きく左右する重要な意思決定です。しかし、建設経験が少ない企業が多いため、**「無駄な設備投資」「動線設計ミス」「建設コストの肥大化」**といったトラブルに直面するケースも少なくありません。

本記事では、延床面積1,000㎡未満の工場・作業所を想定した設計ガイドとして、建設マネジメント(CM)会社の立場から、失敗しないための5つの基本方針を解説します。


✅ 基本方針①:業務フローをもとにゾーニングを設計する

最も重要なのは、**「業務フロー=実際の作業の流れ」**に基づいたゾーニング(空間の配置)です。特に小規模製造業では、以下のような工程が近接している場合が多いため、動線のロスが大きな時間損失に直結します。

  • 原材料の搬入エリア

  • 製造・組立エリア

  • 品質検査・梱包エリア

  • 出荷ヤードやトラックバース

作業員の移動、台車・フォークリフトの動線、騒音や粉塵の拡散なども考慮しながら、「シンプルかつコンパクト」な配置計画を立てることがポイントです。


✅ 基本方針②:設備容量と将来的な拡張性を見込んだインフラ設計

小規模とはいえ、設備機器による電力消費、給排水、空調負荷は無視できません。必要な容量を把握せずに設計を進めると、竣工後に設備の稼働ができない、電気契約の追加工事が必要になるといった事態に陥ります。

特に注意したいのが以下のポイント:

  • 電気容量(キュービクルの有無含む)

  • 給排水・中和槽の必要性

  • 圧縮空気や蒸気設備の設置可否

  • 設備のメンテナンス動線

さらに、**将来のライン増設や設備入替に備えた余白設計(スペース・容量)**も、事業継続の観点で重要です。


✅ 基本方針③:法規制と補助金の対象条件を同時に確認

工場建設には、建築基準法・消防法・騒音規制・排水基準など、様々な法的ハードルがあります。小規模とはいえ、用途地域や延床面積によっては防火区画や耐火建築物の指定が入ることも

また、国や自治体による補助金・助成金を活用する場合、補助対象条件に合致した設計が求められます。たとえば:

  • ZEB Ready相当の省エネ仕様

  • 木造または地域材活用の加点

  • BCP(事業継続計画)対応建物

  • 雇用創出に関する要件

法規制・補助金要件は設計初期に必ずチェックすべき要素です。


✅ 基本方針④:建物と設備を同時に設計・調整する

意外に見落とされがちなのが、「建築」と「生産設備」の連携設計です。

建物の設計が先に進みすぎてしまうと、後から設備を入れようとした時に天井高が足りない、基礎補強が不足している、動線が確保できない…といった手戻りが発生しやすくなります。

CM方式では、建築設計・設備計画・発注スケジュールを一括で管理することで、こうしたロスを最小限に抑えることが可能です。


✅ 基本方針⑤:CM(建設マネジメント)方式を活用して中立的な判断を

小規模工場の建設では、ゼネコン任せにすると必要以上に過剰仕様になったり、反対にコスト優先で必要機能が落とされるリスクがあります。

CM方式であれば、設計者・施工者・設備ベンダーの調整を中立的に行いながら、コストと機能の最適バランスを検討できます。予算に合わせた段階的な建設(第1期・第2期)なども検討しやすくなります。

人気の記事

設計、設計監理、施工管理、コンストラクションマネジメントの違いについて

「倉庫、工場建築のお金のこと」 建設の資金調達方法は?そのメリット・デメリットも!

本当に現在の予算では、理想的な建物が建てられるでしょうか?

ご質問やお問い合わせ等お気軽にご連絡ください。