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関西圏で加速する物流倉庫の再編と建設ニーズとは?

再編期を迎えた物流市場の最新動向と施設設計の視点
コロナ禍以降、EC需要の急増やサプライチェーンの多極化により、物流施設の役割は大きく変化しました。
特に関西圏では、新たな物流拠点の再編と大型倉庫の建設ニーズが急速に高まっています。
この流れは単なる倉庫の「増設」ではなく、エリア選定、建物スペック、機能要件の再定義を伴う、本質的な構造変化といえます。
本記事では、関西圏における物流倉庫の再編トレンドと、そこから見えてくる施設設計上の要点を、実務者の視点から解説します。
✅ なぜ今、関西で物流再編が起きているのか?
1. 大阪湾岸エリアの限界と内陸部への拡張
大阪南港・舞洲・堺などの湾岸部は依然として人気ですが、用地不足・地価上昇・自然災害リスクの課題が浮上。これにより、八尾市・東大阪・高槻・枚方などの内陸部への進出が加速しています。
2. 高速道路網の整備
第二京阪道路、近畿自動車道、京滋バイパスなどの整備により、内陸地でも関西全域や名古屋方面への中継・配送が容易になりました。
3. 人手不足とBCP対策
人材確保が難しい中、アクセス性と従業員の働きやすさ(駅近・通勤導線)を重視した立地が注目されるように。また、地震・水害リスクを考慮した土地選定や構造設計も企業選定の決め手となっています。
✅ 関西圏で注目される建設ニーズの変化
1. 多層化・都市型倉庫の需要
関東圏に遅れて、関西でも3階建以上の多層物流施設が登場。
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狭小地対応
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テナントの柔軟なフロア分割
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垂直搬送設備(EV・VRC)の強化
敷地制約を乗り越える都市型設計が今後も増加見込みです。
2. 自動化・省人化対応
AGV(無人搬送車)、自動ラック、音声ピッキングシステムなどのスマート物流対応を見越した床荷重・柱スパン設計が標準化しつつあります。
設計段階での「将来拡張性」の確保が重要視されています。
3. BCP・災害対応型施設
特に水害に備えた「高床式」構造、非常用電源・浸水センサーの導入、耐震性能の向上などが求められるケースが増えています。
✅ 実際の供給動向と着目エリア
▶ 2025年までの供給計画
関西圏では2025年までに延べ40万坪を超える新規物流床の供給が見込まれています。
この中には、マルチテナント型施設や特定業種向け(冷凍・危険物等)施設も多数含まれています。
▶ 注目エリア例
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尼崎・西宮・伊丹周辺:湾岸アクセスと内陸安定性のバランス
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八尾・東大阪・柏原:近鉄・中央環状線沿いで準工業地域が多く、建設自由度が高い
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高槻・枚方・京田辺:京都・滋賀・奈良との広域配送拠点として注目
✅ 今後の施設設計に求められるポイント
関西での物流倉庫建設においては、次のような要素が設計初期から求められます:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゾーニング | 垂直動線(車路・EV)と作業動線の分離 |
| 床荷重 | 1.5~2.0t/㎡対応が標準化 |
| 天井高 | 5.5m以上の確保で自動化対応 |
| 災害対応 | 高床化・BCP設備・避難動線の設計 |
| 環境性能 | 太陽光・ZEB・LEDなど脱炭素配慮 |
| 労働環境 | 休憩室・仮眠室・更衣室の拡充 |
✅ “再編期”の今こそ戦略的物流計画を
関西圏の物流倉庫市場は、今まさに**“選ばれる立地”と“進化した施設スペック”の時代**に入っています。
単に広い土地を確保するだけでは、テナントニーズを満たすことは困難になりつつあります。
企業が求めるのは、
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短納期対応ができる立地
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自動化や多拠点展開に対応できる柔軟性
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ESG・ZEBなど持続可能性に配慮した構造
これらを踏まえた「先を見据えた倉庫づくり」が必要です。
関西物流の“次の10年”を見据えた建設計画が、今まさに各地で動き出しています。





