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建設仮勘定に含める費用・含めない費用|工場・倉庫建設の経理処理

  • 2026.5.29

 

工場や倉庫の建設では、土地取得、設計、造成、建築工事、設備工事、外構工事、機械設備の導入など、さまざまな費用が発生します。これらの費用は、支払った時点ですぐに費用処理するものばかりではありません。建物や設備が完成するまでの間、一時的に「建設仮勘定」として処理し、完成後に建物、建物附属設備、構築物、機械装置、工具器具備品などの固定資産へ振り替えるケースがあります。

しかし実務では、「この費用は建設仮勘定に含めてよいのか」「修繕費や管理費として処理すべきなのか」「建物と機械装置のどちらに振り替えるべきなのか」で迷うことが少なくありません。特に工場・倉庫建設では、建物本体工事だけでなく、生産設備、物流設備、ラック、マテハン設備、受変電設備、排水処理設備、外構、消防設備などが関係するため、費用分類が複雑になりやすい傾向があります。

本記事では、工場・倉庫建設における建設仮勘定の基本的な考え方と、建設仮勘定に含める費用・含めない費用の判断ポイントを解説します。なお、会計処理や税務処理は、会社の会計方針、契約内容、支出目的、個別事情によって判断が変わる場合があります。最終的な処理については、税理士や会計士などの専門家に確認することが重要です。

 

建設仮勘定とは

建設仮勘定とは、建物や設備などの固定資産を建設・製作している途中で発生した支出を、一時的に管理するための勘定科目です。工場や倉庫は、契約してすぐに完成するものではありません。設計、確認申請、造成、基礎工事、建方、設備工事、検査、引渡しなど、完成までに一定の期間がかかります。

その間に発生する建設関連費用を、完成前から建物や機械装置などの固定資産として確定することは難しいため、いったん建設仮勘定として処理します。

その後、工場や倉庫が完成し、事業の用に供された段階で、建設仮勘定から適切な固定資産科目へ振り替えます。

例えば、以下のような振替が考えられます。

建設中の処理 完成後の振替先
建設仮勘定 建物
建設仮勘定 建物附属設備
建設仮勘定 構築物
建設仮勘定 機械装置
建設仮勘定 工具器具備品

この振替後、減価償却の対象となる資産については、事業の用に供した日を基準に減価償却を開始します。工場の場合、機械を搬入しただけではなく、据付や試運転を経て、本来の目的で使用できる状態になったタイミングが重要になります。

 

建設仮勘定に含める費用の基本的な考え方

建設仮勘定に含めるかどうかを判断する際の基本は、その支出が「固定資産を取得し、事業の用に供するために直接必要な費用かどうか」です。工場や倉庫を建設するために直接必要な費用であれば、建設仮勘定に含める対象になりやすいと考えられます。一方で、建設とは直接関係しない費用、日常的な管理費、営業活動費、移転後の通常運営費などは、建設仮勘定に含めず、費用処理や別の資産科目で処理することになります。

ただし、実際の会計・税務処理では、契約内容、支出目的、資産との関連性、社内会計方針によって判断が変わる場合があります。そのため、建設仮勘定に含めるかどうかは、単に請求書の名称だけで判断せず、以下のような視点で整理することが重要です。

  • ・何のための支出か
  • ・建設工事に直接関係する費用か
  • ・どの資産に対応する費用か
  • ・完成後にどの固定資産へ振り替えるべきか
  • ・使用開始前の費用か、使用開始後の費用か

 

建設仮勘定に含める費用

工場・倉庫建設で建設仮勘定に含めることが多い費用には、以下のようなものがあります。

 

1. 設計費

工場や倉庫の建設に必要な設計費は、建設仮勘定に含める対象になりやすい費用です。例えば、以下のような費用です。

  • ・基本設計費
  • ・実施設計費
  • ・構造設計費
  • ・設備設計費
  • ・造成設計費
  • ・外構設計費
  • ・省エネ計算に関する設計費
  • ・確認申請に必要な図面作成費

設計費は、建物や設備を完成させるために必要な支出であり、完成後は建物や建物附属設備などの取得価額に含めて整理されることがあります。ただし、建物本体に関する設計なのか、生産設備に関する設計なのか、外構や構築物に関する設計なのかによって、完成後の振替先が変わる場合があります。

 

2. 建築確認申請・各種申請費用

工場・倉庫建設では、建築確認申請や各種行政手続きが必要になる場合があります。建設そのものに直接必要な申請費用は、建設仮勘定に含める対象になりやすい費用です。例えば、以下のような費用です。

  • ・建築確認申請費
  • ・完了検査に関する費用
  • ・省エネ適判に関する費用
  • ・開発許可に関する費用
  • ・消防協議に関する図書作成費
  • ・構造計算適合性判定に関する費用
  • ・行政提出図書の作成費

これらは、工場や倉庫を建設し、使用できる状態にするために必要な費用として整理されます。一方で、一般的な会社運営に関する許認可費用や、建設とは直接関係しない届出費用は、建設仮勘定に含めるべきか慎重に判断する必要があります。

 

3. 建物本体工事費

建物本体の工事費は、建設仮勘定の中心となる費用です。例えば、以下のような工事費が該当します。

  • 仮設工事
  • 基礎工事
  • 鉄骨工事
  • 屋根工事
  • 外壁工事
  • 建具工事
  • シャッター工事
  • 床工事
  • 内装工事
  • 防水工事
  • 塗装工事

工場や倉庫では、建物本体の仕様が生産効率や物流効率に大きく影響します。天井高さ、柱スパン、床荷重、搬入口、断熱仕様、防火区画などは、建設費だけでなく、完成後の使い勝手にも関係します。建物本体工事費は、完成後に主に「建物」へ振り替えることになります。

 

4. 建物附属設備工事費

建物に付属する設備工事費も、建設仮勘定に含める対象になります。例えば、以下のような費用です。

  • ・電気設備工事
  • ・照明設備工事
  • ・空調設備工事
  • ・換気設備工事
  • ・給排水衛生設備工事
  • ・消防設備工事
  • ・自動火災報知設備工事
  • ・エレベーター・昇降機設備工事
  • ・受変電設備工事
  • ・通信・LAN設備工事
  • ・セキュリティ設備工事

完成後は、内容に応じて「建物附属設備」などに振り替えることがあります。工場・倉庫では、設備工事の分類が重要です。建物と一体で機能する設備なのか、生産設備として独立して機能する設備なのかによって、固定資産の科目や耐用年数が変わる場合があります。

 

5. 造成工事・地盤改良費

土地の造成や地盤改良に関する費用も、建設仮勘定に含めるかどうかを検討する重要な項目です。例えば、以下のような費用です。

  • ・整地工事
  • ・盛土・切土工事
  • ・地盤改良工事
  • ・杭工事
  • ・擁壁工事
  • ・雨水排水工事
  • ・構内道路整備
  • ・敷地内の高低差調整

これらの費用は、建物の建設に直接必要な場合、建設仮勘定に含める対象になりやすいです。ただし、土地そのものの価値を高める造成費なのか、建物の基礎や構築物に直接関係する費用なのかによって、完成後の振替先が変わる場合があります。

土地、建物、構築物のどれに対応する費用かを整理することが重要です。

 

6. 外構工事費

工場・倉庫では、建物本体だけでなく、外構工事も重要です。例えば、以下のような費用があります。

  • ・駐車場整備
  • ・トラックヤード整備
  • ・構内道路
  • ・フェンス
  • ・門扉
  • ・排水溝
  • ・雨水貯留施設
  • ・緑地整備
  • ・照明柱
  • ・サイン・案内板
  • ・荷捌きスペース

外構工事費は、内容に応じて「構築物」などに振り替えることが多い項目です。特に物流倉庫では、トラックヤードや構内道路の整備が大きな費用になることがあります。建物本体工事とは別に、外構工事として管理しておくことで、完成後の資産分類がしやすくなります。

 

7. 生産設備・物流設備の導入費

工場・倉庫建設では、建物と同時に生産設備や物流設備を導入することがあります。例えば、以下のような設備です。

  • ・生産機械
  • ・加工機械
  • ・包装機械
  • ・検査装置
  • ・コンベア
  • ・自動倉庫
  • ・マテハン設備
  • ・ラック設備
  • ・クレーン
  • ・冷凍冷蔵設備
  • ・排水処理設備
  • ・コンプレッサー
  • ・集塵設備

これらは建物本体ではなく、完成後に「機械装置」や「工具器具備品」などに振り替える場合があります。ただし、建物附属設備との区分が難しいものもあります。例えば、空調設備や冷凍冷蔵設備は、建物と一体の設備として扱うのか、生産・保管機能のための設備として扱うのかによって整理が変わることがあります。

設備ごとに、用途、設置場所、機能、独立性を整理しておくことが重要です。

 

8. 工事監理費・プロジェクト管理費

建設工事に直接関係する工事監理費やプロジェクト管理費も、建設仮勘定に含める対象になる場合があります。

例えば、以下のような費用です。

  • ・工事監理費
  • ・設計監理費
  • ・CM業務費
  • ・工程管理に関する費用
  • ・コスト管理に関する費用
  • ・工事に直接関係する技術支援費
  • ・施工者選定に関する支援費

工場・倉庫建設では、設計者、施工会社、設備会社、行政、消防、社内関係者など、多くの関係者が関わります。これらを調整し、建設プロジェクトを進めるための費用が、建設に直接関連する場合は、建設仮勘定として整理されることがあります。

ただし、経営コンサルティング費や事業戦略検討費など、建設そのものと直接関係しない費用は、建設仮勘定に含めるべきか慎重に判断する必要があります。

 

9. 建設中の支払利息

建設中の固定資産に関連して発生する借入金利息は、処理に注意が必要です。建設中の支払利息を建設仮勘定に含めるかどうかは、会計方針や税務上の取扱いに関係します。実務上は、以下の点を確認する必要があります。

  • ・借入金が建設資金に対応しているか
  • ・建設期間中の利息か
  • ・建設仮勘定に含める会計方針か
  • ・取得価額に算入する処理を継続できるか
  • ・税務上の取扱いに問題がないか

支払利息の処理は税務上の影響があるため、税理士や会計士に確認しながら処理することが重要です。

 

建設仮勘定に含めるか判断が分かれやすい費用

工場・倉庫建設では、建設仮勘定に含めるかどうか判断が分かれやすい費用があります。以下のような費用は、支出目的や内容によって処理が変わるため注意が必要です。

 

1. 土地取得関連費用

土地購入費は、通常、建設仮勘定ではなく「土地」として処理されます。ただし、土地を工場・倉庫用地として使用できる状態にするための造成費や整備費は、内容によって土地、建物、構築物などに分けて整理する必要があります。

例えば、以下のように判断が分かれます。

費用内容 主な処理の考え方
土地購入代金 土地
仲介手数料 土地取得関連費用として整理
登記費用 取得価額に含めない処理が可能な場合あり
造成費 土地・建物・構築物との関連で判断
擁壁・排水設備 構築物などとして整理する場合あり

土地関連費用は、建物とは異なり減価償却の対象にならない土地に含めるものもあります。そのため、最初から建設仮勘定に一括計上するのではなく、土地・建物・構築物の区分を意識して管理することが重要です。

 

2. 解体費用

既存建物を解体して新しい工場や倉庫を建設する場合、解体費用の処理も注意が必要です。新しい建物を建設するために既存建物を取り壊す場合、その解体費用が新建物の取得に関連する費用として扱われる場合があります。一方で、既存建物の除却損や撤去費として処理する場合もあります。

判断には、以下のような要素が関係します。

  • ・既存建物をいつ取得したか
  • ・土地取得時点で解体予定だったか
  • ・既存建物を使用していたか
  • ・解体の目的が新築のためか
  • ・既存建物の帳簿価額が残っているか

解体費は金額が大きくなりやすいため、建設仮勘定に含める前に会計・税務上の整理が必要です。

 

3. 引越し・移転費用

既存工場から新工場へ移転する場合、引越し費用や設備移設費が発生します。これらは、建設仮勘定に含めるかどうか判断が分かれやすい費用です。例えば、新しい設備を設置して使用できる状態にするために直接必要な据付費や試運転費は、設備の取得価額に含める対象になりやすいです。

一方で、単なる事務所移転費、荷物の移動費、従業員の移転対応費などは、期間費用として処理する場合があります。

移転費用は、以下のように分けて整理すると分かりやすくなります。

費用内容 判断の考え方
生産設備の据付費 機械装置の取得価額に含める場合あり
試運転費 設備を使用可能にするための費用として整理
事務用品の移動費 費用処理となる場合あり
従業員の移転対応費 建設仮勘定に含めない場合が多い
旧工場の原状回復費 建設費とは別に整理

 

4. 試運転費・立上げ費用

工場では、生産設備を導入した後、試運転やライン立上げを行います。試運転費は、設備を本来の目的で使用できる状態にするために必要な費用であれば、取得価額に含める対象になることがあります。一方で、操業開始後の教育、歩留まり改善、通常の生産準備、営業上の立上げ費用などは、建設仮勘定に含めない場合があります。

判断のポイントは、「資産を使用可能な状態にするための費用か」「操業開始後の通常活動の費用か」です。

 

5. コンサルティング費用

工場・倉庫建設では、設計、施工会社選定、コスト管理、工程管理、補助金、BCP、物流改善などに関するコンサルティング費用が発生することがあります。建設プロジェクトに直接関係する業務であれば、建設仮勘定に含める対象になる場合があります。

一方で、以下のような費用は建設仮勘定に含めるべきか慎重な判断が必要です。

  • ・事業戦略の検討費
  • ・経営計画の作成費
  • ・販売戦略の立案費
  • ・補助金申請のみを目的とした費用
  • ・金融機関向け資料作成費
  • ・社内教育や研修費

コンサルティング費用は請求書名だけでは判断しにくいため、業務内容を明細化しておくことが重要です。

 

建設仮勘定に含めない費用

次に、建設仮勘定に含めないことが多い費用を整理します。

 

1. 建設と直接関係しない一般管理費

会社全体の管理費や通常の経理・総務費用は、建設仮勘定に含めないのが一般的です。例えば、以下のような費用です。

  • ・通常の人件費
  • ・本社管理費
  • ・一般的な通信費
  • ・通常の旅費交通費
  • ・社内会議費
  • ・通常の事務用品費
  • ・経営会議の費用

ただし、建設プロジェクト専任者の人件費や、建設に直接関係する出張費などは、会社の会計方針によって扱いが変わる場合があります。社内費用を建設仮勘定に含める場合は、根拠資料や配賦基準を明確にする必要があります。

 

2. 営業活動・販売活動に関する費用

新しい工場や倉庫の完成後に行う営業活動や販売活動に関する費用は、建設仮勘定には含めないことが多いです。例えば、以下のような費用です。

  • ・新工場のPR費
  • ・広告宣伝費
  • ・顧客向けパンフレット制作費
  • ・展示会出展費
  • ・営業資料作成費
  • ・新製品の販売促進費

これらは建物や設備を取得するための費用ではなく、営業活動に関する費用として整理する必要があります。

 

3. 操業開始後の通常費用

工場や倉庫が完成し、事業の用に供された後に発生する通常費用は、建設仮勘定ではなく、通常の費用や該当する資産として処理します。例えば、以下のような費用です。

  • ・操業開始後の修繕費
  • ・通常の保守点検費
  • ・電気代・水道代
  • ・消耗品費
  • ・通常の清掃費
  • ・警備費
  • ・設備の定期メンテナンス費
  • ・操業後の従業員研修費

建設仮勘定に含めるのは、基本的に完成・使用開始前の取得関連費用です。使用開始後の費用まで建設仮勘定に含めると、資産計上の範囲が過大になる可能性があります。

 

4. 修繕費として処理すべき費用

既存工場や既存倉庫の改修では、建設仮勘定に含めるべき資本的支出と、修繕費として処理すべき費用の判断が重要です。例えば、以下のような支出は修繕費として処理される場合があります。

  • ・原状回復のための修理
  • ・老朽化部分の補修
  • ・破損箇所の修繕
  • ・通常の維持管理
  • ・性能を大きく向上させない交換

一方で、建物の価値を高める、耐用年数を延ばす、用途を変更する、機能を大きく向上させるような工事は、資本的支出として固定資産に計上する場合があります。既存建物の改修では、工事内容を細かく分けて、修繕費と資本的支出を整理することが重要です。

 

5. 旧工場・旧倉庫の通常撤退費用

新工場・新倉庫への移転に伴い、旧工場や旧倉庫で発生する費用があります。例えば、以下のような費用です。

  • ・旧工場の原状回復費
  • ・旧倉庫の賃貸契約解約費
  • ・旧設備の廃棄費
  • ・不用品処分費
  • ・旧拠点の清掃費
  • ・退去に伴う事務費

これらは、新しい工場や倉庫を建設するための直接費用ではなく、旧拠点の撤退や整理に関する費用として扱う場合があります。ただし、新工場建設と一体のプロジェクトとして扱うかどうかは、契約内容や支出目的によって判断が必要です。

 

完成後は固定資産へ振り替える

建設仮勘定は、完成までの一時的な勘定科目です。工場や倉庫が完成し、使用できる状態になったら、建設仮勘定に計上していた金額を、適切な固定資産科目へ振り替えます。

主な振替先は以下の通りです。

振替先 主な内容
建物 工場棟、倉庫棟、事務所棟など
建物附属設備 電気設備、空調設備、給排水設備、消防設備など
構築物 駐車場、構内道路、フェンス、排水設備など
機械装置 生産設備、搬送設備、加工機械など
工具器具備品 ラック、什器、備品など
土地 土地取得費、土地に直接関係する費用など

このとき重要なのは、建設仮勘定を一括して「建物」に振り替えないことです。工場・倉庫建設では、建物、建物附属設備、構築物、機械装置などが混在します。これらは耐用年数や減価償却の方法が異なるため、完成後に適切に資産分類する必要があります。

 

建設仮勘定と消費税の注意点

建設仮勘定は法人税・会計だけでなく、消費税の処理にも関係します。建設仮勘定に計上されている金額であっても、消費税法上は、原則として物の引渡しや役務の提供があった日の課税期間において仕入税額控除を行うことになります。つまり、建設仮勘定に残っているからといって、必ず完成時まで仕入税額控除を待つわけではありません。

ただし、請求書の受領時期、役務提供の完了時期、インボイスの保存、支払条件、契約内容によって確認が必要です。工場・倉庫建設は金額が大きく、消費税額も大きくなりやすいため、経理処理のタイミングを誤ると資金繰りや申告に影響する場合があります。消費税の処理については、建設会社からの請求書、出来高請求、前払金、引渡し時期、役務提供の内容を整理し、税理士に確認しながら進めることが重要です。

 

経理担当者と建設担当者で共有すべき資料

建設仮勘定の処理で問題が起こりやすいのは、経理担当者と建設担当者の情報が分かれている場合です。建設担当者は工事内容を把握していても、請求書だけでは経理担当者が内容を判断できないことがあります。一方で、経理担当者が会計処理上必要な区分を把握していても、工事内容が分からなければ適切な資産分類ができません。

そのため、以下の資料を共有しておくことが重要です。

  • ・工事請負契約書
  • ・見積書
  • ・工事内訳書
  • ・設計図
  • ・設備リスト
  • ・施工範囲表
  • ・請求書
  • ・出来高報告書
  • ・変更契約書
  • ・追加工事一覧
  • ・竣工図
  • ・引渡書
  • ・検査済証
  • ・固定資産台帳作成用資料

特に、見積書や請求書は「建築工事一式」「設備工事一式」とまとめられていると、完成後の資産分類が難しくなります。できるだけ、建物、建物附属設備、構築物、機械装置、外構、備品などに分けて内訳を整理しておくことが望ましいです。

 

工場・倉庫建設でよくある注意点

1. すべてを建物に振り替えてしまう

建設仮勘定に入っている費用を、完成後にすべて「建物」として処理してしまうと、資産分類が不正確になる可能性があります。工場・倉庫には、建物附属設備、構築物、機械装置、備品などが含まれます。それぞれ耐用年数や償却方法が異なるため、完成後の分類が重要です。

2. 建設と関係ない費用まで含めてしまう

建設プロジェクトに関連しているように見えても、実際には建設と直接関係しない費用があります。例えば、営業費、広報費、従業員教育費、操業開始後の通常費用などは、建設仮勘定に含めるべきではない場合があります。

建設仮勘定に含める範囲が広すぎると、資産計上が過大になる可能性があります。

3. 追加工事の内容が分からなくなる

工場・倉庫建設では、設計変更や追加工事が発生することがあります。追加工事の内容を記録していないと、完成後にどの資産へ振り替えるべきか分からなくなることがあります。追加工事については、以下を記録しておくと整理しやすくなります。

  • ・追加工事の内容
  • ・発生理由
  • ・対象エリア
  • ・対応する資産
  • ・金額
  • ・契約変更の有無
  • ・完了時期

4. 建設仮勘定のまま長期間残ってしまう

完成後も建設仮勘定に残したままにすると、固定資産台帳や減価償却の管理に影響します。完成・引渡し・使用開始のタイミングで、固定資産へ振り替える必要があります。特に工場では、建物全体の完成前に一部の生産ラインや倉庫エリアを使用開始する場合があります。その場合は、完成した部分や事業の用に供した部分を合理的に区分し、減価償却の開始時期を確認する必要があります。

 

建設仮勘定に含める費用・含めない費用の整理表

以下は、工場・倉庫建設でよく発生する費用の整理例です。

費用項目 建設仮勘定に含めるか 主な確認ポイント
設計費 含めることが多い 建物・設備・外構のどれに関係するか
建築確認申請費 含めることが多い 建設に直接必要な申請か
建物本体工事費 含める 完成後は建物へ振替
電気・空調・給排水設備 含める 建物附属設備か機械装置か
消防設備工事 含める 建物附属設備として整理する場合あり
外構工事 含めることが多い 構築物として整理する場合あり
生産設備 含めることが多い 完成後は機械装置へ振替
ラック・備品 内容により判断 工具器具備品として整理する場合あり
土地購入費 通常は土地 建設仮勘定ではなく土地として管理
土地造成費 内容により判断 土地・建物・構築物の区分に注意
解体費 内容により判断 新築目的か、既存資産の除却か
支払利息 会計方針により判断 建設仮勘定に含める場合は取得価額に算入
移転費用 内容により判断 設備据付か、通常の引越し費用か
広告宣伝費 含めないことが多い 建設ではなく営業活動の費用
操業後の保守費 含めない 使用開始後の通常費用
修繕費 内容により判断

資本的支出か修繕費か

 

建設仮勘定は、工場や倉庫が完成するまでの建設関連費用を一時的に管理するための重要な勘定科目です。工場・倉庫建設では、建物本体工事だけでなく、設計費、申請費、設備工事、外構工事、造成工事、生産設備、物流設備など、さまざまな費用が発生します。これらを適切に整理しないと、完成後の固定資産分類や減価償却、消費税処理に影響する可能性があります。

建設仮勘定に含めるかどうかを判断する際は、その支出が固定資産を取得し、事業の用に供するために直接必要な費用かどうかを確認することが基本です。

一方で、営業活動費、通常の管理費、操業開始後の保守費、建設と直接関係しない費用などは、建設仮勘定に含めない場合があります。特に工場・倉庫建設では、建物、建物附属設備、構築物、機械装置、備品が混在しやすいため、請求書や見積書の段階から費用区分を整理しておくことが重要です。

最終的な会計・税務処理は、会社の会計方針や個別事情によって異なります。建設プロジェクトの初期段階から、経理担当者、建設担当者、税理士、会計士が連携し、建設仮勘定に含める費用と含めない費用を整理しておくことが、竣工後の処理を円滑に進めるポイントです。

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