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倉庫建設における開発許可の注意点

  • 2025.4.28

都市計画法・土地条件・スケジュール管理まで実務解説


「倉庫を建てたいが、この土地で建設できるのか分からない…」
「建築確認だけではなく、“開発許可”も必要だと聞いたけど、何が違うの?」

こうした疑問を持つ企業担当者の方は少なくありません。
実は倉庫建設においては、土地の立地条件や規模によって、「開発許可(都市計画法に基づく)」が必要となるケースが多々あります。

この記事では、倉庫建設時に見落としがちな**「開発許可」についての基本知識と、申請時の注意点、スケジュール面での影響**を、建設マネジメントの実務視点で詳しく解説します。


✅ 開発許可とは?|建築確認との違い

開発許可は、都市計画法第29条に基づく手続きで、**“土地の造成や道路・上下水道などの整備を含む開発行為”**を行う際に必要です。

手続き名 管轄 対象
建築確認申請 建築主事 or 民間検査機関 建物の設計・構造の合法性
開発許可申請 都道府県・市区町村の都市計画課 土地利用・造成・インフラの整備全般

📌 **「建物を建てる前の土地そのものの開発行為」**に関わるため、建築確認よりも前に許可を得る必要があります。


倉庫建設で開発許可が必要になるケース

以下のような場合、開発許可が必要になる可能性が高いです:

◾️ 都市計画区域内での一定規模以上の開発

区域 面積要件
市街化区域 1,000㎡以上の土地造成・道路新設など
市街化調整区域 原則として建築不可、例外規定での開発のみ可能(極めて制限が厳しい)
区域外 自治体の判断により、届出・協議で済む場合もあり

👉 倉庫は平屋であっても敷地面積が広くなる傾向があるため、開発許可の対象になることが多いです。


✅ 開発許可が必要な「行為」の例

開発許可が必要となるのは、建築そのものだけではなく、周辺インフラや敷地条件に関わる行為です:

  • 土地の造成(切土・盛土・整地)

  • 道路の新設・拡幅

  • 水路・排水計画の変更

  • 造成による高低差の変更

  • 排水・雨水放流先の確保

👉 これらは事前に自治体の指導課と協議・調整が必要で、時間がかかることが多いです。


✅ 設計段階で注意すべきポイント

◾️ 1. 開発行為の有無の確認を最初に行う

  • 土地の登記地目が「山林」「農地」の場合、農地転用や林地開発申請が先に必要なことも

  • 「都市計画図」や「用途地域図」で市街化調整区域かどうかを確認

📌 CMや設計会社に依頼する際には、**「その土地で倉庫が建てられるかどうか」**の法的可否をまずチェックすべきです。


◾️ 2. 開発許可取得までのスケジュールに注意

ステップ 目安期間
事前協議・指導 1〜2か月
開発許可申請書の作成 2〜3週間
審査・協議・補正 1〜2か月(案件によってはそれ以上)
許可取得後の工事着手 許可証交付+標識設置+14日以上の公告期間が必要

👉 トータルで3〜6か月程度を見込む必要あり。工程計画に大きな影響を与えるため、早期段階での判断が必須です。


✅ CM視点からの助言

  • ✅ 開発許可が関わる案件では、「設計・施工会社」だけでなく、「土地調査・測量・行政協議ができるCM」が伴走すべき

  • ✅ 特に農地・調整区域の案件では開発可能性判断のスクリーニングが最重要

  • ✅ 開発許可の遅延は「建築確認・工事着手」すべてに波及するため、工程全体の逆算スケジュールを引く必要あり


🔍 まとめ|倉庫建設の成功は「開発許可」対応から始まる

倉庫建設では、「建物をどう建てるか」だけでなく、「どこに建てるか」「土地が使えるのか」という法的・技術的な土地判断が第一ステップとなります。

  • ✅ 開発許可が必要か否かは、立地と面積、造成の有無で決まる

  • ✅ 審査には数か月単位の期間と手続き調整力が求められる

  • ✅ 工期と予算に直結するため、CMとの早期連携が成功の鍵

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