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建設コストが膨らむ理由とCM方式でできる対策とは?

  • 2025.6.20

工場や倉庫の建設を進める中で、多くの企業担当者が直面するのが「見積より大幅に膨らんだ建設費」という問題です。
なぜ予算をオーバーしてしまうのか?どうすれば防げるのか?

本記事では、建設マネジメント(CM)会社の視点から、建設コストが膨らむ代表的な原因と、その対策法を詳しく解説します。


建設コストが膨らむ5つの主な理由

1. 設計段階の予算超過

設計事務所にプラン作成を依頼したが、予算と合わない設計が提出されるケースは少なくありません。設計者はコスト感覚よりも空間デザインや性能優先で進める傾向があるためです。

2. 工事中の変更・追加工事

施工が始まったあと、「あれも必要だった」「仕様を変更したい」といった設計変更や追加工事が発生すると、一気にコストが上がります。

3. 一括発注によるコストの不透明さ

ゼネコン一社に丸ごと設計施工を任せた場合、見積明細が細かく出てこないこともあり、「適正価格かどうか判断できない」と感じる発注者も多いです。

4. 工事期間の延長

天候や資材遅延、関係者間の調整不足などにより工程が伸びると、その分仮設費や人件費が上乗せされ、コストが膨らみます。

5. 補助金や優遇措置の未活用

本来使えるはずの補助金制度や減税制度を活用しないことで、実質的なコスト削減機会を逃していることもあります。


コスト増を防ぐためのCM方式の活用

CM(コンストラクション・マネジメント)方式では、これらのコスト増加要因を事前に抑える仕組みがあります。

✅ 1. 設計段階でのコストコントロール

CM会社は基本設計段階から参画し、概算見積と照らし合わせて予算に収まるよう調整します。発注者と設計者の間に立ち、性能とコストのバランスをとる重要な役割を担います。

✅ 2. 工種ごとの分離発注で価格の透明化

施工会社を一社に一括発注せず、内装・設備・電気・給排水などを工種ごとに発注することで、競争原理が働き、コストの適正化が可能になります。

✅ 3. 見積比較とVE(Value Engineering)提案

複数社からの見積をCMが精査・比較し、不要な仕様や過剰スペックを削減するVE提案も行います。これにより、機能を維持しつつコスト削減が可能です。

✅ 4. 工程管理で遅延リスクを最小化

施工段階では、工程表のチェックと週次ミーティングで進捗を管理。資材手配や天候リスクも含め、スケジュール調整を行い、長期化による追加費用を抑えます

✅ 5. 補助金・制度の活用支援

ZEB補助金や事業再構築補助金など、建設と関連する国の制度に詳しいCM会社であれば、申請や交付のサポートも可能です。これにより、実質的な負担軽減が可能になります。


CM方式での実際のコスト削減事例

たとえば、当社が手がけたある食品工場の新築プロジェクトでは、以下のような成果がありました:

  • 設計段階でのVE提案により、想定より約12%のコスト削減

  • 施工業者の分離発注で見積価格に20%の差が発覚

  • CM会社主導の工程管理により工期短縮に成功、仮設費を約300万円削減


コストは「見積後」ではなく「計画段階」から管理を

建設コストが膨らむのは、施工段階より設計や発注の初期に原因があるケースがほとんどです。
CM方式では、その「初期の意思決定」に専門家が関わることで、最初から予算内で進める体制が整います

「見積が出てから調整する」のではなく、
最初から予算に合わせて組み立てる
これが、建設を成功に導く最大のポイントです。

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