AGECブログ
建設労務費の実態
昨今、建設費が上昇しており下がることはあるのか、と聞かれることが多いです。
私の予想では、今後下がることは無いかと考えています。
その根拠はと言うと、実態を調査すれば一目瞭然なのです。
建設費は、材料費、労務費、管理費、会社経費(利益含む)で構成されています。
海外から多くの輸入に頼る建材に関しては、欧米のインフレや新興国の目覚ましい発展に伴い、上昇しているのはご存知だと思います。
安価で製造できる国がなくなっている故、価格が落ち着くことがあっても、下がる要素が見つかりません。
ですので、材料費に関しては今後下がらないと思われます。
それでは、労務費はどうでしょう。
労務費というのは、建設現場でいう職人と呼ばれる方々です。
職人は、子供の頃から憧れ技術を磨いて職人になる人は少なく、仕事無くて仕方なく職に就いたとか、先輩に頼まれては職人になったとか、直ぐに高い給与を手に入れる職人を選んだ方が多いいと思います。
それが最近、職人に以外の職種の人達の給与が上がり、職人の世界の給与停滞に魅力がなくなってきました。
それを裏付けるのが、発注者に提出される元請建設会社からの見積もり単価と、職人に行き渡る単価の差が年々増加しているのです。
昨年の国交省公共工事単価によると、例えば塗装工であれば日給29,000円をベースに見積もりをしなさいというガイドラインになっています。しかし、塗装工がもらっているアンケートでは日給15,400円しかもらっていないとのことです。
これは、年収を週休1日で計算した結果なので、荒天での仕事の無い日も含めてですが、個々人に入ってくる給与としては、これくらいです。
ということは、差額はどこへ消えていったのでしょうか。
元請建設会社は、かなり薄利での業務を行なっています。
スーパーゼネコンの清水建設は昨年度営業損出約250億円も出しています。
少しの売り上げ回収の遅れや、取引先への支払い増加で直ぐに赤字になるのです。
元請会社が利益を大きく取っているという疑惑もありますが、そうでもなさそうです。
それでは、どこにその差額は消えていったのでしょうか。