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建設費の資産区分とは?建物・構築物・設備の違いと仕訳の実務

  • 2025.6.4

会計処理で失敗しないための分類ポイント

工場や倉庫の新設・リニューアルを行う際、経理や財務部門が最も頭を悩ませるのが、**「建設費の資産区分」**です。
同じ建設プロジェクトでも、費用は「建物」「構築物」「機械装置」「工具器具備品」など、複数の固定資産科目に分けて処理する必要があり、誤ると減価償却や税務上のリスクにつながることもあります。

この記事では、建設費の資産区分の基本ルールと、それぞれの違い・分類の考え方を実務的にわかりやすく解説します。


✅ 建設費の資産区分が重要な理由とは?

ポイント 解説
減価償却の計算が異なる 建物と設備では耐用年数や償却方法が違う
税務調査で指摘されるリスクあり 誤分類による過少償却・過大償却の是正対象
補助金・助成金処理にも関係 申請書の費用区分と会計上の整合が必要

📌 特に工場建設などの大規模投資では、正しい資産区分が会計・税務・補助金処理のすべてに影響します。


建物・構築物・設備の違いとは?基本定義

資産区分 概要 代表例 耐用年数(参考)
建物 屋根・壁・柱などで囲われた恒久的な構造物 倉庫、工場本体、事務所棟など 鉄骨造 34年/木造 22年など
構築物 建物以外の固定された構造物 外構(舗装、フェンス)、排水溝、看板、塀など 10〜20年程度(内容による)
設備(附属設備) 建物に付随する設備(独立性がない) 空調、照明、電気・給排水、昇降設備、火災報知器など 6〜15年
機械装置 製造・加工・搬送などに用いる機器 コンベア、洗浄機、製造ライン、冷凍ユニットなど 7〜15年

📌 重要な判断基準は「独立性」「建物との一体性」「目的(生産用か付属か)」です。


✅ 実務で迷いやすいグレーゾーン例

設備・工事名 区分 理由・解説
太陽光パネル(屋根設置) 構築物 or 機械装置 自家消費型→機械装置/売電型→構築物の可能性あり
冷蔵設備 建物附属設備 建物に埋め込み・一体化している場合が多い
防火シャッター 建物 開口部に設置されて恒久性があるため
クレーンレール 構築物 建物とは別構造で設置されることが多い
通信・LAN配線 建物附属設備 建物に固定されて使用される

📌 CMや設計事務所と相談しながら、図面ベースでの仕訳案を整理するのが安全です。


✅ 会計処理の進め方とポイント

1. 設計・見積段階での分類検討

  • 設備項目ごとに「これは建物か?構築物か?設備か?」を確認

  • グレーな場合は税理士・会計士の意見を事前に取り入れる

2. 工事請負契約の内訳書を活用

  • 見積内訳に“舗装工事”や“空調設備一式”などと記載されていれば、分類の根拠になる

3. 完成引渡時に資産台帳へ分類記載

  • 金額・耐用年数・減価償却区分を正確に入力

  • 補助金受給分がある場合は別途控除処理も必要(前回記事参照)


✅ 建設マネジメント(CM)会社ができること

  • 設計段階での資産分類のアドバイス

  • 補助金・税務要件に適した構成提案

  • 工事内訳書の資産区分整理

  • 経理部門への報告資料作成・連携支援

📌 「建てる」だけでなく、「会計・税務処理まで見据えた設計・マネジメント」ができることが、CM方式の大きなメリットです。


✅ 建設費の資産区分を正しく理解し、経理リスクを防ぐ

ポイント 内容
資産区分で償却年数が変わる 建物・構築物・附属設備で異なる処理
グレーゾーンは事前確認が重要 設計段階で会計士・CMと相談
CM導入で処理をスムーズに 発注者・設計者・経理の間をつなぐ役割に◎

AGECでは、工場・倉庫の建設計画において、資産区分整理・補助金対応・会計報告までを含めた建設マネジメント(CM)サービスを提供しています。「建設費の仕訳や分類に不安がある…」「会計部門との調整が大変…」というご相談は、こちらからお気軽にご相談ください

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