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施工図ミスが後工程に与える影響とは?
建設プロジェクトにおいて、**施工図は現場施工の“設計図書の最終形”とも言える重要な書類です。
しかし、現場で多く見られるトラブルの一因として、「施工図のミス」や「整合性不足」**があげられます。
本記事では、施工図ミスが後工程に与える具体的な影響と、コンストラクションマネジメント(CM)の視点からの対策・管理手法をわかりやすく解説します。
✅ 施工図とは何か?現場における位置づけ
施工図とは、設計図をもとに実際の施工に必要な寸法・部材・納まりを反映して作成される図面です。
主にゼネコンや協力会社(サブコン)が作成し、施工時の具体的な指示書として使われます。
施工図の目的は:
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材料の発注や加工寸法の確定
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現場作業員への施工指示
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他業種(電気・設備・内装等)との取り合い確認
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建築確認や検査資料としての利用
👉 つまり、施工図が正しくないと、その後の工事品質・コスト・工期に大きな影響を及ぼすのです。
✅ 施工図ミスが後工程に与える主な影響
1. 現場での手戻り・再施工の発生
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寸法違いや納まり不備で、実際に組み上げた後にやり直しが発生
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再施工による人件費・資材の無駄
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工程全体の遅延、周辺業種のスケジュールにも波及
2. 設備・配管との干渉(インターフェースミス)
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空調ダクトや配管が梁やスラブとぶつかる
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特に構造・建築・設備の3者間での整合ミスが頻発
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干渉回避のため現場で急な変更=コスト増+図面修正
3. 材料・製作の無駄と納期遅れ
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誤った寸法で鋼製建具・什器・サッシなどを製作 → 納品後に不適合判明
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再発注で数週間の遅延と追加費用発生
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発注者やテナントへの説明責任も発生
4. 品質・安全面への影響
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雨仕舞や断熱ラインの不備により性能劣化・漏水リスク
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手直しで現場が煩雑になり事故リスクも上昇
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品質検査で不適合になると全体引渡し遅延にもつながる
✅ 建設マネジメント(CM)が果たす役割
CM(コンストラクションマネジメント)は、発注者側に立ち、設計・施工全体の品質・工程・コストを横断的に管理する立場にあります。
CMの立場からは、以下のような視点で施工図チェックを行います:
項目 | チェック内容 |
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設計図との整合性 | 寸法、仕様、納まりの差異がないか(A→B間違いなど) |
法規適合性 | 有効寸法・避難経路・防火区画など |
施工可能性 | 実際の現場で無理なく施工できるか、干渉がないか |
業種間の整合 | 建築・電気・設備間での交差確認、機器位置 |
スケジュール | 施工図の提出・承認の遅れが全体工程に与える影響の管理 |
👉 CMが事前に図面レビュー会(DR:Drawing Review)を主導することで、施工前にリスクを発見・是正し、後工程への影響を最小限に抑えることができます。
✅ 再発防止のための対策(CM主導)
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BIMや3Dモデリングを活用した干渉チェック
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施工図レビューの標準化(レビュー項目のテンプレ化)
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ゼネコン・設計者・CM・発注者を交えた定例図面確認会の実施
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リードタイムを確保した工程内の図面提出スケジュールの明確化
✅ 施工図は“現場のバイブル”、ミスはプロジェクト全体に波及する
施工図ミスの影響 | 発生するリスク |
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寸法・納まりの誤り | 手戻り・再施工・コスト増 |
設備干渉 | 急な変更対応・納期遅延 |
材料不適合 | 再発注・調達スケジュール遅れ |
品質不良 | 性能劣化・事故・引渡し遅れ |
コンストラクションマネジメントの役割は、こうしたミスを未然に防ぐための監理と調整を実行することです。
発注者にとっても、**“図面の品質が現場の品質を決める”**という意識を持つことが、成功するプロジェクトの鍵となります。