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施工図ミスが後工程に与える影響とは?

  • 2025.5.12

 

建設プロジェクトにおいて、**施工図は現場施工の“設計図書の最終形”とも言える重要な書類です。
しかし、現場で多く見られるトラブルの一因として、
「施工図のミス」や「整合性不足」**があげられます。

本記事では、施工図ミスが後工程に与える具体的な影響と、コンストラクションマネジメント(CM)の視点からの対策・管理手法をわかりやすく解説します。


✅ 施工図とは何か?現場における位置づけ

施工図とは、設計図をもとに実際の施工に必要な寸法・部材・納まりを反映して作成される図面です。
主にゼネコンや協力会社(サブコン)が作成し、施工時の具体的な指示書として使われます。

施工図の目的は:

  • 材料の発注や加工寸法の確定

  • 現場作業員への施工指示

  • 他業種(電気・設備・内装等)との取り合い確認

  • 建築確認や検査資料としての利用

👉 つまり、施工図が正しくないと、その後の工事品質・コスト・工期に大きな影響を及ぼすのです。


✅ 施工図ミスが後工程に与える主な影響

1. 現場での手戻り・再施工の発生

  • 寸法違いや納まり不備で、実際に組み上げた後にやり直しが発生

  • 再施工による人件費・資材の無駄

  • 工程全体の遅延、周辺業種のスケジュールにも波及

 

2. 設備・配管との干渉(インターフェースミス)

  • 空調ダクトや配管が梁やスラブとぶつかる

  • 特に構造・建築・設備の3者間での整合ミスが頻発

  • 干渉回避のため現場で急な変更=コスト増+図面修正

 

3. 材料・製作の無駄と納期遅れ

  • 誤った寸法で鋼製建具・什器・サッシなどを製作 → 納品後に不適合判明

  • 再発注で数週間の遅延と追加費用発生

  • 発注者やテナントへの説明責任も発生

 

4. 品質・安全面への影響

  • 雨仕舞や断熱ラインの不備により性能劣化・漏水リスク

  • 手直しで現場が煩雑になり事故リスクも上昇

  • 品質検査で不適合になると全体引渡し遅延にもつながる

 


✅ 建設マネジメント(CM)が果たす役割

CM(コンストラクションマネジメント)は、発注者側に立ち、設計・施工全体の品質・工程・コストを横断的に管理する立場にあります。

CMの立場からは、以下のような視点で施工図チェックを行います:

項目 チェック内容
設計図との整合性 寸法、仕様、納まりの差異がないか(A→B間違いなど)
法規適合性 有効寸法・避難経路・防火区画など
施工可能性 実際の現場で無理なく施工できるか、干渉がないか
業種間の整合 建築・電気・設備間での交差確認、機器位置
スケジュール 施工図の提出・承認の遅れが全体工程に与える影響の管理

👉 CMが事前に図面レビュー会(DR:Drawing Review)を主導することで、施工前にリスクを発見・是正し、後工程への影響を最小限に抑えることができます。


✅ 再発防止のための対策(CM主導)

  • BIMや3Dモデリングを活用した干渉チェック

  • 施工図レビューの標準化(レビュー項目のテンプレ化)

  • ゼネコン・設計者・CM・発注者を交えた定例図面確認会の実施

  • リードタイムを確保した工程内の図面提出スケジュールの明確化


✅ 施工図は“現場のバイブル”、ミスはプロジェクト全体に波及する

施工図ミスの影響 発生するリスク
寸法・納まりの誤り 手戻り・再施工・コスト増
設備干渉 急な変更対応・納期遅延
材料不適合 再発注・調達スケジュール遅れ
品質不良 性能劣化・事故・引渡し遅れ

コンストラクションマネジメントの役割は、こうしたミスを未然に防ぐための監理と調整を実行することです。
発注者にとっても、**“図面の品質が現場の品質を決める”**という意識を持つことが、成功するプロジェクトの鍵となります。

 

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