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木造と鉄骨造、倉庫建設にはどちらが最適?

  • 2025.5.1

倉庫建設を計画する際、最初に迷うのが「構造を木造にするか、鉄骨造にするか」という選択です。
一般的には鉄骨造が主流ですが、近年ではサステナブル建築への関心の高まりや、初期費用の観点から木造倉庫の導入も増えています。

この記事では、構造ごとの特徴やコスト、用途ごとの適性、法規制までを比較しながら、発注者の立場でどちらを選ぶべきかを解説します。


✅ コスト比較|初期費用と維持コストの違い

比較項目 木造 鉄骨造
建設費用(坪単価) 約18〜28万円 約25〜40万円
材料価格の安定性 比較的安定(国産材活用可) 市況に左右されやすい(鉄鋼価格)
工期 短め(プレカット可能) やや長め(重量・組立工程あり)
維持管理費 防腐・防蟻対策が必要 耐久性・耐火性に優れる

小規模でシンプルな設計であれば、木造はコストメリットが大きく、短期間で建設可能です。一方、鉄骨造は高耐久で大規模・高機能な倉庫に適しています。


✅ 構造性能と耐久性

比較項目 木造 鉄骨造
耐火性 防火地域では制限あり 耐火構造で対応しやすい
耐荷重 軽量物に適する 重量機械や資材に対応
柱スパン 狭め(柱が多くなる) 10m以上の大スパン可能
拡張性・柔軟性 増築は難しい場合あり 増改築・設備更新に柔軟対応可

大型フォークリフトの走行や、クレーン設置を前提とする場合は鉄骨造が優位です。


✅ 用途別の適性

用途 木造が適するケース 鉄骨造が適するケース
小規模保管倉庫 100〜200㎡程度、低コスト重視 大量保管・高天井が不要な場合
物流拠点 不向き トラック動線、荷捌き場、天井高が求められる施設
冷蔵・冷凍倉庫 断熱性の観点で◎ 結露・冷熱対策に工夫が必要
地域材活用倉庫 SDGs・自治体PRに有効 環境性能や意匠性が問われる施設
重機・機械保管倉庫 不向き 床荷重・クレーン等に柔軟対応可能

どのような荷物を保管するか、またはどのように使うかによって構造の選択は大きく変わります。


✅ 法規制の観点から

チェック項目 木造 鉄骨造
建築基準法の制限 防火・準防火地域では制限あり 対応しやすい(耐火建築可)
用途地域 工業・準工業地域で適用可能 同様だが騒音対策も必要
高さ制限 9m程度までが現実的 12m以上の設計も可
接道・排水・構造計算 必要 必要(特に構造設計は詳細に)

計画地の地域指定や条例により、選択可能な構造が限定される場合もあるため、事前の法令調査が必須です。


✅ 環境対応とブランド性

木造倉庫は以下のような観点から注目されています:

  • 国産材・地域材を活用することでCO₂排出を抑制

  • SDGsやESG対応として企業ブランディングに効果

  • 「木の温もり」を活かしたデザイン性の高い施設も可能

特に自治体や地元産業との連携を重視する企業にとって、木造倉庫は企業価値向上の一手となるでしょう。


✅ 木造と鉄骨造、それぞれの強みを活かす判断を

判断軸 推奨構造
初期費用・短期工期を重視 木造
高天井・重量設備・柔軟設計 鉄骨造
環境配慮・PR効果を狙いたい 木造
物流拠点・大規模施設 鉄骨造

WareRiseでは、木造・鉄骨造どちらにも対応可能な設計・コストプランをご提案しています。
「どちらの構造が適しているか分からない」「複数案で比較したい」などのお悩みがあれば、こちらからお気軽にご相談ください

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