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減価償却の方法と耐用年数の決め方とは?

  • 2025.6.6

工場・倉庫の建設後に必要な会計処理をわかりやすく解説

工場や倉庫を建設した後、経理担当者や管理部門が必ず直面するのが「減価償却(げんかしょうきゃく)」の処理です。
設備投資は一括で費用にできないため、一定期間にわたって費用配分(償却)する必要があります。
しかし、「建物と構築物の違いは?」「耐用年数はどう決めるの?」など、初めての方にとっては難しいポイントも多くあります。この記事では、減価償却の基本、法人税法上の償却方法、耐用年数の判断基準を実務目線で丁寧に解説します。


✅ 減価償却とは?

減価償却とは、長期にわたって使用する固定資産(建物・設備など)にかかる取得費用を、一定の年数に分割して費用化していく会計処理のことです。

内容 説明
対象 建物、構築物、附属設備、機械装置、車両、工具など
意義 取得費を一度に損金にせず、使用期間に応じて費用化する
法的根拠 法人税法/減価償却資産の耐用年数等に関する省令

📌 一括経費化すると課税所得が一時的に偏るため、減価償却で費用を均等化し、資産管理も明確にします。


✅ 減価償却の方法とは?

法人が採用できる主な減価償却方法は以下の2つです(令和5年度現在):

▶ 定額法(ていがくほう)

  • 毎年、同じ金額を償却する方法

  • 安定的な費用計上ができ、経理処理もシンプル

  • 建物・建物附属設備・構築物は基本的に定額法が義務付けられている

▶ 定率法(ていりつほう

  • 毎年、残存価額に一定率をかけて償却

  • 最初の数年は多く、後年は少なくなる

  • 令和4年度以降、機械装置など一部資産では選択制となっている

📌 建物や附属設備については「定額法」が強制適用。選択の余地はありません。


✅ 耐用年数の決め方とは?

減価償却の期間(=耐用年数)は、「耐用年数表」によって資産の種類ごとに定められています。
(参考:国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」)

▼ 主な資産の耐用年数(抜粋)

資産区分 内容 耐用年数の例
建物(鉄骨造) 工場、倉庫など 34年
建物附属設備 空調、電気、給排水、照明など 15年
構築物 外構、舗装、フェンス、排水溝など 10〜20年
機械装置 製造装置、搬送機器 7〜15年
工具器具備品 台車、ラック、PCなど 3〜10年

📌 実際に使用する年数ではなく、「税法上定められた年数」で計算します。
📌 耐用年数は「法定耐用年数」であり、企業ごとの判断では変更できません(一部例外除く)。


✅ 減価償却の実務処理フロー

  1. 建設完了・引渡し後に「資産計上(建物・構築物など)」

  2. 対応する耐用年数を耐用年数表から選定

  3. 減価償却方法(通常は定額法)を確認

  4. 初年度は月割償却を適用

  5. 年度末に償却額を仕訳し、会計処理・法人税申告へ反映

📌 補助金を受けた場合は、補助対象分を除いた金額で償却対象を設定する点も忘れずに。


✅ よくある質問(Q&A)

Q1. 減価償却をしないとどうなる?
→ 税務調査で「過少償却による損金不足」「固定資産管理の不備」などの指摘を受ける可能性あり。

Q2. 耐用年数を短縮して償却できる?
→ 原則不可。ただし中古資産や用途変更などの条件を満たす場合は「見積耐用年数」の設定が可能。

Q3. 建設費の一部が不明確な場合は?
→ 工事内訳書をもとに分類整理し、建設マネジメント(CM)会社や税理士との連携が必要


✅ CM(コンストラクションマネジメント)会社の役割

CM方式で建設を進めた場合、以下のような会計・減価償却支援が可能になります:

  • 工事内訳ごとの資産分類支援(建物・構築物・附属設備など)

  • 補助金適用分の費用分離と帳簿整理

  • 経理部門への報告資料作成・説明支援

  • 減価償却台帳作成に必要な情報提供


✅ 減価償却の知識で、建設後の会計もスムーズに

ポイント 内容
減価償却は長期資産管理の基本 計画段階から把握しておくべき
資産区分ごとに耐用年数が異なる 誤った処理は税務上のリスクに
CM会社と連携することで、分類・帳簿処理も安心 計画〜報告までトータル支援が可能

AGECでは、工場・倉庫の建設後も、減価償却を含めた会計処理・資産管理の支援を行うCMサービスをご提供しています。
「減価償却の処理が不安」「資産分類で迷っている」という方は、こちらからお気軽にご相談ください

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