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減価償却の方法と耐用年数の決め方とは?
工場・倉庫の建設後に必要な会計処理をわかりやすく解説
工場や倉庫を建設した後、経理担当者や管理部門が必ず直面するのが「減価償却(げんかしょうきゃく)」の処理です。
設備投資は一括で費用にできないため、一定期間にわたって費用配分(償却)する必要があります。
しかし、「建物と構築物の違いは?」「耐用年数はどう決めるの?」など、初めての方にとっては難しいポイントも多くあります。この記事では、減価償却の基本、法人税法上の償却方法、耐用年数の判断基準を実務目線で丁寧に解説します。
✅ 減価償却とは?
減価償却とは、長期にわたって使用する固定資産(建物・設備など)にかかる取得費用を、一定の年数に分割して費用化していく会計処理のことです。
内容 | 説明 |
---|---|
対象 | 建物、構築物、附属設備、機械装置、車両、工具など |
意義 | 取得費を一度に損金にせず、使用期間に応じて費用化する |
法的根拠 | 法人税法/減価償却資産の耐用年数等に関する省令 |
📌 一括経費化すると課税所得が一時的に偏るため、減価償却で費用を均等化し、資産管理も明確にします。
✅ 減価償却の方法とは?
法人が採用できる主な減価償却方法は以下の2つです(令和5年度現在):
▶ 定額法(ていがくほう)
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毎年、同じ金額を償却する方法
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安定的な費用計上ができ、経理処理もシンプル
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建物・建物附属設備・構築物は基本的に定額法が義務付けられている
▶ 定率法(ていりつほう)
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毎年、残存価額に一定率をかけて償却
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最初の数年は多く、後年は少なくなる
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令和4年度以降、機械装置など一部資産では選択制となっている
📌 建物や附属設備については「定額法」が強制適用。選択の余地はありません。
✅ 耐用年数の決め方とは?
減価償却の期間(=耐用年数)は、「耐用年数表」によって資産の種類ごとに定められています。
(参考:国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」)
▼ 主な資産の耐用年数(抜粋)
資産区分 | 内容 | 耐用年数の例 |
---|---|---|
建物(鉄骨造) | 工場、倉庫など | 34年 |
建物附属設備 | 空調、電気、給排水、照明など | 15年 |
構築物 | 外構、舗装、フェンス、排水溝など | 10〜20年 |
機械装置 | 製造装置、搬送機器 | 7〜15年 |
工具器具備品 | 台車、ラック、PCなど | 3〜10年 |
📌 実際に使用する年数ではなく、「税法上定められた年数」で計算します。
📌 耐用年数は「法定耐用年数」であり、企業ごとの判断では変更できません(一部例外除く)。
✅ 減価償却の実務処理フロー
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建設完了・引渡し後に「資産計上(建物・構築物など)」
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対応する耐用年数を耐用年数表から選定
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減価償却方法(通常は定額法)を確認
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初年度は月割償却を適用
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年度末に償却額を仕訳し、会計処理・法人税申告へ反映
📌 補助金を受けた場合は、補助対象分を除いた金額で償却対象を設定する点も忘れずに。
✅ よくある質問(Q&A)
Q1. 減価償却をしないとどうなる?
→ 税務調査で「過少償却による損金不足」「固定資産管理の不備」などの指摘を受ける可能性あり。
Q2. 耐用年数を短縮して償却できる?
→ 原則不可。ただし中古資産や用途変更などの条件を満たす場合は「見積耐用年数」の設定が可能。
Q3. 建設費の一部が不明確な場合は?
→ 工事内訳書をもとに分類整理し、建設マネジメント(CM)会社や税理士との連携が必要。
✅ CM(コンストラクションマネジメント)会社の役割
CM方式で建設を進めた場合、以下のような会計・減価償却支援が可能になります:
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工事内訳ごとの資産分類支援(建物・構築物・附属設備など)
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補助金適用分の費用分離と帳簿整理
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経理部門への報告資料作成・説明支援
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減価償却台帳作成に必要な情報提供
✅ 減価償却の知識で、建設後の会計もスムーズに
ポイント | 内容 |
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減価償却は長期資産管理の基本 | 計画段階から把握しておくべき |
資産区分ごとに耐用年数が異なる | 誤った処理は税務上のリスクに |
CM会社と連携することで、分類・帳簿処理も安心 | 計画〜報告までトータル支援が可能 |
AGECでは、工場・倉庫の建設後も、減価償却を含めた会計処理・資産管理の支援を行うCMサービスをご提供しています。
「減価償却の処理が不安」「資産分類で迷っている」という方は、こちらからお気軽にご相談ください