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設計図面は誰が作る?建築士と施工者の役割分担

建設プロジェクトを進める上で不可欠な「設計図面」。しかし、その作成を誰が担当するのか、どの段階でどのような図面が必要なのか、発注者側から見ると分かりづらいことも少なくありません。本記事では、設計図面の種類と作成者、そして建築士と施工者の役割分担について、法律的根拠も踏まえて明確に整理します。
■ 設計図面の種類と役割
1. 基本設計図(基本設計)
基本設計とは、建物の大まかな構成・配置・機能などを定める設計段階であり、発注者の要望や予算をもとに、計画の方向性を定めるために作成される図面です。
この段階では、必ずしも建築士の資格を持った者が図面を作成しなければならないわけではありません。日本の建築士法において、基本設計自体は建築士の独占業務とはされていません。
2.実施設計図(実施設計)
実施設計は、基本設計をもとに、詳細な寸法・仕様・材料・設備の配置などを具体化する設計図面です。建築確認申請や工事費の見積取得、工事契約の根拠図として用いられます。
この段階でも、実施設計図そのものを作成する行為は、建築士の独占業務には該当しません。ただし、建築確認申請を行う際に提出する「確認申請図書」の作成・署名は、建築士の資格を有する者のみが行える独占業務であることが、建築士法第3条等で定められています。
■ 設計監理と施工図のチェック体制
設計監理とは、建築士が設計意図に基づき、現場での施工が正しく行われているかを確認する行為です。建築士法上は任意契約であり、発注者が建築士と設計監理契約を締結した場合に限り、設計監理義務が生じます。
一方、建築基準法施行令により、一定規模以上(例:木造3階建以上、延べ面積300㎡超の建築物、 特殊建築物など。詳細は建築士法第3条・第3条の2を参照)では「工事監理者(施工とは独立した立場)」の設置が義務付けられています。
施工図(詳細施工用の図面)は、通常、施工者(ゼネコンや専門業者)が作成しますが、設計監理契約がある場合は、設計者である建築士がその内容を確認し、設計図との整合性をチェックする役割を果たします。
■ 設計施工一括方式(デザインビルド方式)における注意点
設計と施工を同一企業またはJV(ジョイントベンチャー)が担う「設計施工一括方式」の場合、設計図作成者の責任が曖昧になりがちです。
しかし、建築確認申請図書などの法定図書に関しては、いかなる方式であっても建築士資格を有する者が作成・署名する必要があります。
よって、たとえ設計施工が一体であっても、建築士が責任をもって設計図を作成し、その図面が法令に準拠していることを担保する必要があります。特に、発注者は設計施工一括方式においても、責任の所在(誰が設計し、誰が監理するのか)を契約書に明示することが重要です。
・基本設計図の作成に建築士資格は不要だが、確認申請図書の作成には資格が必要
・実施設計は建築士でなくても作成可能だが、確認申請を含む業務は建築士の独占業務
・施工図は施工者が作成、設計監理契約があれば建築士がチェック
・設計施工一括方式でも、法定設計業務は有資格者が実施し、責任分担の明確化が重要
設計図面の正確性と、作成者の責任の所在を明確にすることは、後の設計変更や施工ミス、トラブルの防止に直結します。発注者にとっても、基本設計から施工図までのプロセスと担当者の役割を正しく理解しておくことが、スムーズなプロジェクト進行のカギとなるでしょう。





