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EPCとEPCMの違いとは?工場建設で発注者が知っておきたい契約・責任範囲のポイント

  • 2026.7.28

 

EPCとEPCMは何が違うのか

工場やプラントの建設計画では、「EPC」「EPCM」という言葉が使われることがあります。

EPCやEPCMは、化学・食品・医薬品・半導体・エネルギー関連施設など、建築工事と生産設備・プラント設備を一体的に計画するプロジェクトで用いられることが多い方式です。

一般的な倉庫や事務所建設ではなじみが薄い言葉かもしれませんが、生産設備やプラント設備を含む施設計画では、契約方式を検討するうえで重要な考え方です。

名称は似ていますが、両者では契約構造、責任範囲、発注者の関与の仕方が大きく異なります。

簡単に整理すると、EPCは設計・調達・建設を一括して請け負う方式、EPCMは発注者の立場で設計・調達・建設管理を行う方式です。

どちらが適しているかは、事業者へ任せたい範囲、発注者の社内体制、設備仕様の確定度、計画変更の可能性などによって変わります。

本記事では、EPCとEPCMの違いを、工場建設を検討する発注者の視点から解説します。

 

EPCとは

EPCとは、次の3つの頭文字を取った言葉です。

  • ・Engineering: 設計
  • ・Procurement: 機器・資材の調達
  • ・Construction: 建設・施工

EPC方式では、発注者がEPC事業者と契約し、設計から機器・資材の調達、建設・施工までを一括して任せるのが一般的です。契約内容によっては、試運転、性能確認、操業開始に向けた支援までEPC事業者の業務に含まれる場合があります。

発注者にとっては、契約窓口を一本化しやすく、設計・調達・建設の責任関係を整理しやすい点が特徴です。

一方で、契約後に設備仕様や生産条件を変更すると、追加費用や工期変更が発生する可能性があります。そのため、契約前に要求条件をできるだけ明確にしておく必要があります。

なお、EPCであっても、必ずしも固定総額契約になるとは限りません。契約金額の決め方や価格変動リスクの分担は、個別の契約条件によって異なります。

 

EPCMとは

EPCMとは、次の業務を指します。

  • ・Engineering: 設計・設計管理
  • ・Procurement: 調達支援・調達管理
  • ・Construction Management: 建設工事の管理

EPCM事業者は、EPCのように工事全体を一括して請け負うのではなく、発注者を支援する立場で設計、調達、建設工事を管理します。一般的には、実際の工事契約や機器購入契約を発注者が施工会社・メーカーと直接締結し、EPCM事業者が各社の選定支援、工程、品質、コスト、変更内容などを管理します。

ただし、EPCMの業務範囲には統一された形があるわけではありません。

設計をどこまで担当するのか、調達契約を誰が締結するのか、現場管理にどこまで責任を負うのかは、契約ごとに異なります。

EPCM事業者はプロジェクト全体を管理しますが、各施工会社の工事完成責任を代わりに負うものではない点にも注意が必要です。

 

EPCとEPCMの違い

比較項目 EPC EPCM
基本的な役割 設計・調達・建設を一括して実施 設計・調達・建設を発注者側で管理
契約構造 EPC事業者との一括契約が中心 発注者が各施工会社・メーカーと個別契約
工事完成責任 EPC事業者に集約しやすい 各契約先に分散する
発注者の関与 比較的少ない 比較的多い
コストの透明性 内訳が見えにくい場合がある 個別契約の金額を把握しやすい
設計変更 契約後は追加費用が生じやすい 設計途中でも調整しやすい
コストの見通し 一括請負契約では早期に総額を整理しやすい 個別発注の進行に伴って総額が明確になることが多い
発注者の管理負担 比較的小さい 意思決定や契約管理の負担が大きい

重要なのは、EPCMが単に「EPCから建設工事を除いた方式」ではないという点です。

EPCM事業者は、複数の設計会社、施工会社、設備メーカーを横断して管理し、プロジェクト全体を調整します。

しかし、工事の完成責任や施工上の責任まで一括して負うとは限りません。

 

EPCのメリットと注意点

メリット

EPCでは、設計・調達・建設の窓口を一本化できるため、発注者側の管理負担を抑えやすくなります。責任の所在を整理しやすく、設計と施工の間で問題が発生した場合も、EPC事業者へ一元的に対応を求めやすい点が特徴です。

特に、仕様が明確で、完成時期や総事業費の見通しを重視する計画に適しています。

 

注意点

一括契約であっても、すべてのリスクをEPC事業者へ移転できるわけではありません。

発注者の要求条件が曖昧な場合や、契約後に生産能力、設備仕様、レイアウトを変更した場合は、追加工事として扱われる可能性があります。また、設計・調達・施工を含む総額で提示されるため、個別の機器費や工事原価が見えにくい場合があります。

契約前には、要求仕様書、性能条件、完成基準、試運転条件、追加変更の取り扱いを明確にすることが重要です。

 

EPCMのメリットと注意点

メリット

EPCMでは、施工会社や設備メーカーとの契約内容を発注者が直接把握できるため、コストの透明性を確保しやすくなります。また、設計の進行に合わせて工事や調達を複数のパッケージに分け、順次発注することも可能です。

生産設備が複雑な工場、設計中に仕様変更が予想される計画、複数の専門業者を組み合わせるプロジェクトでは、柔軟に対応しやすい方式です。

 

注意点

EPCMでは契約先が複数になるため、責任分界が複雑になりやすい点に注意が必要です。例えば、設備の不具合が設計、製品、施工、他設備との接続のどこに原因があるのか、判断が難しくなる場合があります。

また、重要な仕様変更や発注判断は最終的に発注者が行うケースが多いため、社内の意思決定が遅れると工期や調達へ影響します。

EPCM事業者へ任せる業務と、発注者が判断する業務を契約段階で明確にしておく必要があります。

 

工場建設ではどちらを選ぶべきか

EPCとEPCMのどちらが優れているかを一律に決めることはできません。

EPCが適しているのは、次のような計画です。

  • 設備仕様や生産条件が固まっている
  • 社内に建設専門人材が少ない
  • 契約窓口を一本化したい
  • 責任範囲を集約したい
  • 予算と完成時期の見通しを重視する

EPCMは次のような計画に向いています。

  • 生産設備やプラント設備が複雑である
  • 設計中にも仕様変更の可能性がある
  • 複数の工事・設備を分割して発注したい
  • 調達価格や工事費の透明性を重視する
  • 発注者が施工会社やメーカーの選定に関与したい

発注方式を決める際は、工事規模だけでなく、発注者側の管理体制も確認する必要があります。

EPCMを採用しても、発注者側で仕様承認、契約、予算管理、変更判断を行う体制が整っていなければ、プロジェクトの進行に支障が出る可能性があります。

 

発注者が契約前に確認すべきポイント

確認項目 主な確認内容
業務範囲 設計・調達・施工管理を誰が担当するか
契約関係 発注者がどの会社と直接契約するか
完成責任 性能・品質・工期の責任を誰が負うか
コスト管理 予算超過や価格変動を誰が管理するか
設計変更 追加費用と工期変更をどう扱うか
試運転 性能確認や立ち上げ支援をどこまで含むか
意思決定 発注者が承認すべき事項と期限は何か

「EPC契約」「EPCM契約」という名称だけで判断せず、実際の契約書に記載された業務範囲と責任分担を確認することが重要です。同じEPCやEPCMという名称でも、契約条件によって発注者と事業者が負担するリスクは異なります。

 

CMが発注方式の検討に有効な理由

EPCとEPCMでは、発注者が負担するリスクや管理業務が異なります。しかし、発注方式を検討する段階では、設計条件や設備計画が十分に整理されておらず、どの方式が適しているか判断しにくいケースもあります。

CM(コンストラクションマネジメント)では、発注者の立場から次のような支援を行います。

  • 建設計画と発注条件の整理
  • EPC・EPCMを含む発注方式の比較
  • 業務範囲と責任分界の確認
  • コスト・工期リスクの検証
  • 要求仕様書や入札条件の整理
  • 見積・契約内容の比較と精査

発注方式を早い段階で整理することで、契約後の責任問題や追加費用のリスクを抑えやすくなります。

 

EPCは、設計・調達・建設を一括して任せ、責任を一元化しやすい方式です。一方、EPCMは、発注者が施工会社や設備メーカーと直接契約し、EPCM事業者がプロジェクト全体を管理する方式です。

発注者が押さえておきたいポイントは次の3つです。

① 契約構造が異なる
EPCでは一括契約が中心ですが、EPCMでは複数の契約を発注者が直接締結するケースが一般的です。

② 責任範囲が異なる
EPCM事業者はプロジェクト管理を担いますが、EPC事業者と同じ完成責任を負うとは限りません。

③ 発注者の管理体制で選ぶ
柔軟性や透明性だけでなく、社内で必要な意思決定や契約管理ができるかを確認する必要があります。

名称だけで方式を選ぶのではなく、計画の特性、社内体制、変更可能性、責任分担を踏まえて判断することが重要です。

 

AGECへのご相談

AGECでは、工場・倉庫・物流施設の建設において、発注者の立場からコンストラクションマネジメント(CM)を提供しています。EPC・EPCMを含む発注方式の比較、業務範囲と責任分界の整理、要求仕様書の作成支援、見積・契約内容の精査まで一貫してサポートします。

「EPCとEPCMのどちらが自社の計画に適しているか分からない」「契約後の追加費用や責任リスクを整理したい」という場合は、お気軽にご相談ください。

※本記事は2026年7月時点の一般的な建設・プラントプロジェクトにおけるEPC・EPCMの考え方を解説したものです。実際の業務範囲、契約構造、責任分担は、契約条件やプロジェクト内容によって異なります。具体的な契約にあたっては、契約書の内容を確認し、必要に応じて法務・技術・建設分野の専門家へご相談ください。

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