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建設業法改正で何が変わった?発注者が知っておくべきポイントを解説

  • 2026.6.15

 

工場や倉庫の建設を計画する企業担当者にとって、「建設業法改正」は建設会社だけの問題ではありません。

近年の建設業界では、人手不足の深刻化や資材価格の高騰、働き方改革への対応など、さまざまな課題が顕在化しています。こうした背景を受けて建設業法の見直しが進められており、発注者にも影響する内容が含まれています。

これまでのように、

  • ・できるだけ早く完成させたい

  • ・できるだけ安く建てたい

  • ・年度内に必ず完成させたい

という考え方だけでは、プロジェクトを円滑に進めることが難しくなっているのが実情です。特に近年の建設業法改正では、「適正工期の確保」と「適正な労務費の確保」が重要なテーマとなっています。本記事では、建設業法改正の背景と、工場・倉庫建設を検討する発注者が押さえておきたいポイントについて解説します。

 

建設業法改正の背景|2024年問題と働き方改革

建設業界では長年にわたり、以下のような課題が指摘されてきました。

主な課題 内容
技術者不足 若手入職者の減少と高齢化
人手不足 職人不足の深刻化
長時間労働 現場の慢性的な残業
資材高騰 建設コスト上昇
短工期化 品質・安全リスク増加

特に大きな転換点となったのが、2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制です。これまで建設業には時間外労働規制の猶予措置がありましたが、現在は他業種と同様に働き方改革関連法への対応が求められています。

これに伴い、従来のような長時間労働を前提とした工期短縮が難しくなり、適正な工期設定がより重要になっています。

また近年の建設業法改正では、

  • ・適正工期の確保

  • ・適正な労務費の確保

  • ・契約内容の透明化

  • ・資材価格変動への対応

などが重要なテーマとして位置付けられています。

 

発注者に関係する主なポイント

① 適正工期の確保が重要になっている

近年の建設業法改正で最も注目されているテーマの一つが「適正工期」です。

工場や倉庫建設では、

  • ・年内稼働したい

  • ・生産開始日を優先したい

  • ・テナント入居日に間に合わせたい

といった理由から、短工期が求められることがあります。しかし、無理な工期設定は以下のリスクにつながる可能性があります。

発生しやすい問題 主な影響
工程圧縮 品質低下
人員不足 工期遅延
突貫工事 安全リスク増加
設計変更対応不足 手戻り発生

近年は国土交通省も適正工期の確保を重視しており、発注者側にも現実的なスケジュール設定が求められています。

 

② 資材価格変動への対応

近年は鉄骨・コンクリート・設備機器などの価格変動が大きくなっています。建設業法改正の議論では、こうした急激な価格変動に対応しやすい契約環境の整備も重要なテーマとなっています。

例えば、

  • ・鉄骨価格の上昇

  • ・電気設備価格の上昇

  • ・空調設備価格の上昇

などが発生した場合、契約内容によっては工事費に影響するケースがあります。発注者としては、

  • ・見積取得時期

  • ・契約時期

  • ・発注タイミング

が建設費に影響する可能性を理解しておく必要があります。

 

③ 契約内容の明確化

工事途中で、

  • ・仕様変更

  • ・設備変更

  • ・レイアウト変更

  • ・工事範囲変更

が発生するケースは少なくありません。こうした変更内容を適切に整理し、契約条件を明確にしておくことが重要です。

確認したい項目

  • ・工事範囲

  • ・別途工事の有無

  • ・追加工事の扱い

  • ・費用負担区分

  • ・設計変更時のルール

契約内容が曖昧な場合、後工程でトラブルにつながる可能性があります。

 

④ 適正な労務費の確保

近年の法改正では、技能労働者への適正な賃金支払いを確保するための取り組みも強化されています。

建設業界では、

  • ・人材不足

  • ・若手不足

  • ・技術継承問題

が深刻化しています。そのため、適正な労務費を確保できない案件では、人員確保が難しくなるケースもあります。

発注者としては、「とにかく安い会社を選ぶ」という考え方だけではなく、「適正な施工体制が確保できる価格か」という視点も重要になっています。

 

発注者が知っておくべきリスク

建設業法改正の趣旨に反する発注や契約条件は、プロジェクト全体に影響を及ぼす可能性があります。適正工期や適正な労務費が確保されない場合、施工品質や安全管理に影響が生じる可能性があります。

また近年は、

  • ・技術者不足

  • ・職人不足

  • ・資材高騰

が続いているため、価格のみを重視した発注では、優良な施工会社から十分な提案を受けにくくなるケースも見られます。工場や倉庫建設では、価格だけでなく、施工体制や管理能力を含めた総合的な判断が重要です。さらに、著しく不適切な契約条件や工期設定については、行政指導や公表制度の対象となる可能性が議論されており、発注者側にも適切な対応が求められる流れが強まっています。

 

工場・倉庫建設への影響

スケジュール管理がより重要になる

工場・倉庫建設では、

  • ・建築工事

  • ・電気設備工事

  • ・機械設備工事

  • ・生産設備工事

  • ・自動倉庫(ASRS)工事

など、多くの工程が関係します。適正工期が重視される中で、これまで以上に早い段階からスケジュールを整理することが重要になっています。

 

設計変更の影響が大きくなる

着工後の設計変更は、

  • ・工期延長

  • ・コスト増加

  • ・資材再手配

  • ・工程調整

につながる場合があります。そのため、計画初期段階で要件を整理することが重要です。

 

見積比較の考え方も変わる

複数社から見積を取得する場合でも、単純な総額比較ではなく、

  • ・工事範囲

  • ・管理体制

  • ・工期条件

  • ・リスク対応

  • ・施工実績

まで確認することが求められます。同じ図面であっても、各社の考え方によって見積内容は異なる場合があります。

 

発注者が今から準備しておくべきこと

建設業法改正を踏まえ、発注者としては以下の点を意識することが重要です。

チェック項目 確認内容
計画開始時期 余裕を持ったスケジュールか
工期設定 現実的な工程か
設計条件 要件が整理されているか
見積条件 各社で統一されているか
契約内容 変更時ルールが明確か

これらを整理することで、後工程でのトラブルを防ぎやすくなります。

 

CM(コンストラクションマネジメント)の重要性

近年の建設プロジェクトは、

  • ・法規制対応

  • ・コスト管理

  • ・工期管理

  • ・設備調整

  • ・リスク管理

などが複雑化しています。そのため、発注者だけで適切な判断を行うことが難しい場面も増えています。CM(コンストラクションマネジメント)を活用することで、

  • ・計画段階での課題整理

  • ・適正工期の検証

  • ・見積比較支援

  • ・コスト管理

  • ・設計・施工調整

などを進めやすくなります。

 

建設業法改正は「発注者の責任範囲」を広げている

これまで建設業法は施工会社側のルールとして捉えられることもありました。しかし近年の改正では、

  • ・適正工期

  • ・適正価格

  • ・適正な労務費

  • ・契約の透明性

といった観点から、発注者にも適切な対応が求められる方向へと変化しています。工場・倉庫建設を成功させるためには、単に建設会社へ発注するだけではなく、計画初期から適切なスケジュールと予算を整理し、プロジェクト全体をマネジメントする視点が重要になっています。

 

建設業法改正は、建設会社だけでなく発注者にも大きく関係する内容を含んでいます。重要なポイントは以下の通りです。

  • ・適正工期の確保が重要になっている

  • ・2024年以降は働き方改革への対応が本格化している

  • ・適正な労務費の確保が重視されている

  • ・契約内容の透明化が求められている

  • ・最安値だけではなく総合的な比較が必要である

  • ・発注者にも適切な計画と管理が求められている

工場や倉庫建設では、早期の計画立案と適切なプロジェクト管理が、品質・コスト・スケジュールのバランスを取る上で重要なポイントとなります。

 

【重要事項】本記事は建設業法改正に関する一般的な情報を整理したものです。実際の法令内容や運用は改正時期や制度運用により変更される場合があります。具体的な契約や法的判断については、最新の法令・行政資料をご確認のうえ、必要に応じて弁護士、行政書士、建設コンサルタント等の専門家へご相談ください。

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