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物流拠点を首都圏近郊に建てるなら2026年が転換点! 千葉・埼玉・神奈川エリア別 建設動向と立地の選び方

  • 2026.7.6

 

首都圏の物流地図が変わっている

「倉庫を建てるなら内陸の圏央道沿線」この考え方は、2026年においても有力な選択肢であり続けています。

ただし、エリアごとの状況は急速に変化しています。千葉では、長年の懸案だった圏央道の大栄JCT〜松尾横芝IC間について、2026年度中の開通が見込まれています。神奈川では、厚木・相模原エリアを中心に大手デベロッパーによる開発が続いています。埼玉では、圏央道沿線に開発余地が残る一方、好立地の用地取得競争が激しくなっています。

本記事では、千葉・埼玉・神奈川の3エリアに分けて、2026年現在の物流拠点建設動向と、各エリアの特性・注意点を整理します。

 

首都圏全体の動向:需要は底堅く、供給も高水準

まず、首都圏近郊の物流施設市場の全体像を見ていきましょう。コリアーズ・インターナショナル・ジャパンのレポートによれば、四大都市圏の大型物流施設の新規供給は、2023年に合計200万坪弱と過去最大級を記録した後、2024年は151万坪、2025年は138万坪と、年間100万坪を超えるペースで供給が続いています。

CBREは2025年8月のレポートで、2027年に首都圏大型マルチテナント型物流施設の新規供給が大幅に減少し、堅調な新規需要が新規供給を上回る見込みと予測しています。つまり現在は、供給が高水準で続く一方、2027年以降は再び需給が引き締まる可能性がある過渡期といえます。

発注者にとっての実務的な含意は明確です。今は一部エリアで用地や施設の選択肢が残っている時期ですが、2027年以降は条件の良い用地・施設を確保しにくくなる可能性があります。拠点計画を持っている企業にとっては、早めに検討を始める価値があります。

また、近年の新築大型物流施設では、有効天井高の確保、AMR(自律走行ロボット)の走行を想定した高耐荷重床、通信インフラ、自動化設備への対応など、デジタル化・省人化を前提とした設計が重視されるようになっています。

倉庫は、単に物を保管する「箱」から、ロボット・データ・人の動線を一体で設計する物流インフラへと変化しています。特に大型施設では、将来的な自動化対応を見据えた仕様設計が標準化しつつあります。

 

千葉エリア:圏央道千葉区間の開通見込みで動き出す新エリア

2026年度の最大トピック:圏央道千葉区間の開通見込み

千葉エリアを語る上で、2026年の大きな注目点は圏央道の千葉区間です。圏央道は全長約300kmのうち約90%が開通しており、残る未開通区間の一つが千葉県の大栄JCT(成田市)から松尾横芝IC(山武市)までの約18.5km。成田空港と千葉県東部、さらには茨城・埼玉方面を直結する重要ルートとみなされています。

この区間が開通すると、輸出入総額で国内最大級の国際貨物拠点である成田国際空港と、東京湾アクアライン方面を結ぶ新たな物流バイパスルートが形成されます。成田国際空港と東京湾アクアラインが高速道路で直結することで、物流の新たなバイパスルートが誕生します。

開通により「東京と千葉・茨城を結ぶ新たなルート」が形成され、アクアライン方面から成田空港へのアクセス向上、災害時・渋滞時の代替ルート、物流の効率化など多岐にわたる効果が期待されています。

 

千葉内陸エリアの開発動向

圏央道沿線の千葉内陸部、特に成田・東金・茂原方面では、空港・湾岸・外房方面を結ぶ新たな物流導線として注目が高まっています。大栄JCT〜松尾横芝IC間の開通見込みを受け、これまでアクセス面で制約があった千葉北東部が、新たな物流拠点候補として浮上しつつあります。

特に圏央成田IC周辺は、成田空港の機能強化や新C滑走路整備計画とも相まって、航空貨物に対応した物流施設の需要が高まる可能性があります。また、柏・流山などの常磐道沿線では、すでに大型物流施設の集積が進んでいます。千葉内陸エリアの常磐道沿線でも、10,000坪を超える大規模物件の新規供給が2025年までに10件超予定されています。

千葉県内といっても、湾岸部、常磐道沿線、成田周辺、外房方面では立地特性が大きく異なります。消費地近接型、空港貨物対応型、広域配送型など、自社の用途に合わせたエリア選定が重要です。

 

千葉エリアの建設・立地のポイント

メリット
平坦な地形が多く、広大な敷地を確保しやすい点が千葉の強みです。東京湾岸部の浦安・船橋・市川エリアは、消費地近接型の物流拠点として引き続き高い需要があります。一方、内陸部は湾岸部と比べて用地コストを抑えやすく、大規模施設の建設候補地として検討しやすいエリアです。

今後は、成田空港の機能強化と圏央道千葉区間の開通見込みにより、空港隣接型・広域配送型の物流施設需要も高まる可能性があります。

注意点
東京湾岸エリアは、すでに用地取得競争が激しく、地価・建設費ともに高止まりしています。また、圏央道沿線の新エリアについても、開通前後で周辺エリアの評価が変わる可能性があります。

そのため、単に「開通後に検討する」のではなく、早い段階から候補地情報を収集し、用地条件・道路アクセス・労働力確保・周辺インフラを比較しておくことが重要です。

 

埼玉エリア:北西部の圏央道沿線が引き続き主戦場

埼玉エリアの開発水準

西東京エリアから圏央埼玉エリアにかけての東京圏の北西部では、2025年までにそれぞれ15万坪程度の新規供給が予定されており、1万坪を超える大規模物件が10件以上供給されています。

埼玉では、関越道・圏央道が交わる川越・坂戸・鶴ヶ島エリア、東北道沿いの岩槻・久喜エリアが主要な物流集積地となっています。大手デベロッパーによるマルチテナント型の大型物流施設も多く、大和ハウス工業が川越市で3.3万㎡のマルチテナント型物流施設を着工するなど、開発は継続しています。

2026年現在も、埼玉エリアでは複数の大型物流施設が建設中・計画中です。特に入間市・坂戸市・東松山市周辺では、圏央道を活用した広域配送拠点としてのニーズが続いています。

 

埼玉エリアが選ばれる理由

関東全域への配送拠点として、埼玉は地理的に優れた位置にあります。関越道・東北道・圏央道の3路線を使い分けられるため、東北・北関東・上信越方面への配送効率が高く、東京都心へのアクセスも良好です。

また、神奈川・千葉の湾岸エリアと比較すると、内陸部では比較的広い敷地を確保しやすい点も魅力です。都心近接性と広域配送機能のバランスを取りやすいエリアといえます。

 

埼玉エリアの建設・立地のポイント

メリット
埼玉は、関東全域をカバーする広域配送拠点として適した立地です。圏央道・関越道・東北道を活用できるため、首都圏だけでなく、北関東・東北・上信越方面を含めた配送網を構築しやすい点が強みです。

また、周辺人口が多く、ドライバーや倉庫作業員の確保という観点でも、候補地として検討しやすいエリアです。

注意点
一方で、好立地エリアの用地はすでに多くがデベロッパーに押さえられており、自社開発用の用地取得は年々難しくなっています。特にIC周辺や幹線道路沿いのまとまった土地は競争が激しく、早期の情報収集と判断が求められます。

また、埼玉では大型賃貸物流施設の選択肢も多いため、自社建設にこだわるのではなく、賃貸入居・BTS型開発・自社建設を比較しながら、事業計画に合う方式を選ぶことが重要です。

 

神奈川エリア:厚木・相模原が「西日本への玄関口」として存在感

神奈川エリアの核心:厚木・相模原の圏央道沿線

神奈川の物流施設開発の中心は、圏央道の相模原愛川IC・圏央厚木IC周辺エリアです。東名高速・中央道・圏央道の3路線に近接し、東日本と西日本をつなぐ中継拠点として機能します。

実際の開発事例を見ると、大和ハウス工業が神奈川県相模原市で延床面積7.7万㎡(約2.3万坪)のラボ併設型物流施設「DPL相模原II」を2025年9月に着工し、2027年9月の竣工を予定しています。大林組が神奈川県厚木市で2025年5月に着工した物流施設は、2026年12月竣工予定です。また、大和ハウス工業が神奈川県寒川町で延床面積8.9万㎡の施設を着工するなど、大手による開発が活発に続いています。

神奈川県綾瀬市では、「LOGIWITH 綾瀬」が東名高速の綾瀬スマートICから約3kmの立地で2026年4月に竣工しています。

 

神奈川エリアが選ばれる理由

神奈川の強みは、東海・西日本方面への配送効率の高さにあります。東名高速を利用すれば、静岡・名古屋方面への幹線輸送がしやすく、首都圏内配送だけでなく、全国配送を見据えた拠点としても機能します。

また、横浜港・川崎港という大型港湾に近い点も特徴です。輸出入を伴うメーカー、商社、EC事業者にとって、港湾アクセスと高速道路アクセスを両立しやすいことは大きな立地優位性となります。

 

神奈川エリアの建設・立地のポイント

メリット
神奈川は、東名高速・圏央道・中央道の三路線を使い分けられる広域配送の要衝です。横浜港・川崎港へのアクセスも良く、輸出入拠点としての機能を持たせやすい点が強みです。

また、大型物流施設の開発・施工実績を持つ事業者が多く、計画初期段階から複数の選択肢を比較しやすいエリアでもあります。

注意点
2024年以降の大型物流施設の新規供給は神奈川・千葉・茨城を中心に見込まれており、神奈川では大型施設間の競争が続いています。用地取得競争も激しく、特に圏央道IC周辺や東名高速へのアクセスが良いエリアは、早い段階から開発候補地として注目されています。

また、圏央道の神奈川区間のうち、横浜湘南道路・高速横浜環状南線は開通見込みが未定の区間もあり、一部の南部エリアではアクセス面の制約が残っています。神奈川県内で拠点を検討する場合は、現在利用できる道路ネットワークと、将来の開通予定を分けて評価することが重要です。

 

3エリアを比較する

比較項目 千葉 埼玉 神奈川
用地取得のしやすさ 内陸部は比較的検討しやすい 好立地は競争激化 競争が激しく取得難度が高い
用地コスト 内陸部は相対的に抑えやすい 中程度 相対的に高め
配送カバーエリア 千葉・茨城・東京東部 関東全域・東北方面 東海・西日本を含む広域
2026年の注目動向 圏央道千葉区間の開通見込みで成田周辺が浮上 川越・坂戸・入間エリアで開発継続 厚木・相模原エリアへの集中投資
港湾アクセス 千葉港・東京港方面 内陸型のため相対的に弱い 横浜港・川崎港
労働力確保 エリアによって差がある 周辺人口が多く確保しやすい 確保しやすいが賃金水準は高め

 

2026年に物流拠点建設を検討する際に押さえておくこと

① 用地と建設費は「2年前の感覚」では通じない

首都圏近郊の工業用地は、物流施設開発の集中によって価格上昇が続いています。また、建設費も資材費・労務費の高騰により、数年前の想定より大きく上振れするケースが増えています。

日本建設業連合会の資料では、2021年比で全建設コストが26〜30%上昇したと試算されています。物流施設の計画を立てる際は、過去の坪単価や概算予算に頼るのではなく、最新の相場感に基づいた予算設定が不可欠です。

 

② 賃貸か自社建設かの判断を早期に行う

首都圏近郊の大型マルチテナント型賃貸物流施設は、デベロッパーが開発した施設を複数社で利用する仕組みです。初期投資を抑えやすく、短期間で入居しやすい一方、仕様の自由度には限界があります。

一方、自社建設は初期投資が大きくなりますが、保管品目、作業動線、自動化設備、将来の増改築などに合わせた施設計画が可能です。

5年・10年の事業計画に照らして、「自社でカスタム建設するか」「賃貸施設に入居するか」「BTS型で専用施設を確保するか」を早い段階で整理し、用地取得・施工会社選定・コスト試算を進めることが重要です。

 

③ 圏央道千葉区間の開通見込みによる「新エリア」を見据える

圏央道千葉区間の開通が見込まれることで、これまで物流拠点の選択肢に上がりにくかった千葉北東部、特に成田・多古・山武周辺が新たな立地候補として注目されつつあります。

開通前後で周辺エリアの評価が変わる可能性があるため、候補地情報、道路アクセス、周辺インフラ、労働力確保のしやすさを早めに確認しておくことが有効です。

 

④ AMR・自動化を前提とした仕様設計が標準化しつつある

新設する物流施設が10年以上稼働することを考えると、将来のAMR導入や自動化を見越した施設仕様を、計画初期から検討しておく必要があります。

たとえば、有効天井高、床耐荷重、柱スパン、通信インフラ、電源容量、作業員とロボットの動線分離などは、後から変更しようとすると大きな追加コストや工期延長につながる可能性があります。

「今すぐ自動化するか」だけでなく、「将来自動化しやすい施設にしておくか」という視点が、これからの物流施設計画では重要になります。

 

エリア 2026年の特徴 向いている用途
千葉 圏央道千葉区間の開通見込みで成田周辺が注目。湾岸部は競争激化 消費地近接型・航空貨物対応型
埼玉 圏央道北西部の開発継続。好立地の用地競争が激化 関東全域・東北方面への広域配送拠点
神奈川 厚木・相模原に大手デベロッパーが集中投資 東海・西日本方面を含む広域配送・輸出入対応

千葉・埼玉・神奈川の3エリアは、それぞれ異なる強みと課題を持っています。千葉は、圏央道千葉区間の開通見込みと成田空港の機能強化を背景に、新たな物流拠点候補として注目が高まっています。埼玉は、関東全域をカバーする広域配送拠点として引き続き有力です。神奈川は、東名高速・圏央道・港湾アクセスを活かし、東海・西日本方面を含めた広域配送や輸出入対応に強みがあります。

重要なのは、「どのエリアが安いか」ではなく、「自社の物流戦略に最も合うエリアはどこか」という視点です。配送エリア、取扱品目、必要面積、工期、予算、自動化方針を整理したうえで、計画の早い段階から立地選定を進めることをお勧めします。

 

AGECは、首都圏近郊を含む工場・倉庫・物流施設の建設に特化したCM会社です。エリア選定の段階から、用地調査、施工会社選定、コスト管理、工程管理まで、発注者の立場でトータルにサポートします。

「千葉・埼玉・神奈川で、どのエリアが自社に合うか相談したい」
「用地の相場感や建設費の目安を知りたい」
「賃貸と自社建設のどちらが有利か試算したい」

このような段階からでもご相談いただけます。物流拠点の新設・移転をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※本記事の情報は2026年6月時点のものです。各エリアの地価・需給状況・道路整備の進捗は随時変化します。最新情報は各自治体・国土交通省の公式発表もあわせてご確認ください。

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