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起工式、上棟式、竣工式の必要性
建物を建てるときに、行われる神事があります。
工事が始まる時に行われる起工式(地鎮祭ともいわれます)、躯体工事が終わる際に行われる上棟式、建物が完成された時に行われる竣工式(新室式ともいわれます)
これらは神式で行われ、氏神様もしくはその土地を管轄する神社にお願いをし、神主さんを呼んで行われるのが一般的です。
起工式の神事では儀式が増加します。
増加する内容としては、刈初(設計者)鎌で草を刈り取る、穿初(施主)鍬で盛り盛り砂を起す、土均(施工者)鋤で盛り砂を均すといったものが足されるからです。
起工式、上棟式、竣工式、は工事の無事を祈り、完成した感謝をご祈祷するもので、施主よりも工事関係者の為にある儀式になります。
そんな神事ですが、基本的には同じ内容ですが、地方によっては異なった内容になることもあります。
20分で終わるところもあれば、熱心な神主さんになると40-50分にもなることもあります。
その内容とは、
神事の内容は、
一、修祓「シュバツ」
神々に御供えする神饌、使用する祭具、祭典に参加する人々、をお祓いする
一、降神「コウシン」
神々を神籬(神がしばらくの間留まる処)にお迎えする
一、献饌「ケンセン」
神々に神饌を御供えする
一、祝詞奏上「ノリトソウジョウ」
この土地に家屋を建てることを神々に報告し、工事の安全を祈る
一、清袚「キヨハライ」
土地の四方をお祓いし清める
一、地鎮の儀「ジチンノギ」
一、玉串拝礼「タマグシハイレイ」
玉串を捧げ神々に家屋を建てる旨報告し、工事の無事を祈る
一、撤饌「テッセン」
神々に御供えした神饌をお下げする
一、昇神「ショウシン」
神籬(ヒモロギ)においでいただ神々に戻っていただく
(地鎮祭では地鎮の儀があります)
司会進行は建設会社の方が務めてくれることが多いですが、住宅などを手がける小規模な建設会社さんだと神主さんが自分で司会を務めてくれるところもあります。
神事の進行中、演出で神楽がレコーダーから流したり、中には笙などの楽器を持参し実際に吹いてくれたりする神社もあります。
また、この一、を羅列するのは、どれも大事で順番をつけられないという意味だそうです。
一方、世界ではどうでしょうか。
アジアでは、仏教で儀式が行われることが多いです。
日本のように、きっちりとした形式では行われず、起工式や竣工式に参加している人が、拝んでいるお坊さんの周りに線香を供えるといったスタイルです。
神事よりもその後の起工の儀式(ヘルメットを着用し、スコップで砂を掘り起こす)の方を重んじます。アジアの儀式はとても派手です。
また西洋の影響の受けた土地ではキリスト教式が採用されているようで、私も一度参加する機会があったのですが、残念ながらスケジュールの関係で欠席となってしまい
見られなかったのが悔やまれます。
そんな神事は必ず行わなければいけないものでしょうか
神という存在は科学的には解明されていなく、神様なんかいないと言われる方もいます。
神道以外の宗教は具体的な神が存在しており、その神に御祈りをしていることが多いです。
しかし、神道に関しては何に拝む、何を信じる、ということが具体的にはわからないのです。
自然に拝み、自分に言い聞かせ、何か困ったことや嬉しかったことは自分に振り返り、進んでいくというのが神道だと思います。
現場作業では危険作業が多くあります。また繊細な業務も多いです。
そんな時、面倒臭がらず一旦立ち止まることは大事です。
それを思い出させるのが、工事が始まってからの気の引き締め、完了した時の無事でよかったという感謝。それが建築における神事ではないかと思います。
神事をすること無く完成した家に住むより、感謝の気持ちを感じながら住む家や施設では、建物への思いが長く大事に続くことで長持ちする建物になるのではないでしょうか。