AGECブログ

2023年建築基準法改正のポイント|国土交通省の耐震基準や年表解説(その4)?

  • 2023.12.15

前回、建築基準法の履歴まとめ|年表(前半部分)に関しご紹介しました。

今回は主に建築基準法の履歴まとめ|年表(後半部分)に関し、ご紹介します。

 

1981年(昭和56年)|新耐震基準の導入

1978年に「宮城県沖地震」が発生し、延べ9万戸以上の住宅が損壊する被害が生じました。これは「初の都市型地震」であり、ブロック塀や無理な宅地造成による危険性が社会問題として注目される契機となったのです。宮城県沖地震を受けて「新耐震設計」が設立されました。基準を強化したことで、震度6~7程度の揺れに対応できる構造となります。具体的には、「耐力壁(筋交い)」の量が大幅に増えました。変形(粘り強さ)により、大地震時の入力エネルギーを吸収するのが特徴です。一般に建物は1981年を境に「新耐震基準」と「旧耐震基準」に区分され、安全性の目安となっています。実際に阪神大震災では、「被災した木造家屋の98%は旧耐震基準だった」というデータが出ています。

 

2000年(平成12年)|木造建築物の耐震性能強化

1995年の阪神淡路大震災では、5,500名もの方が犠牲になりました。多くは建物倒壊による圧迫で、古い木造住宅密集地では火災も原因となっています。それまでの耐震基準では筋交いの継ぎ手が定められていなかったため、「揺れで筋交いが抜け落ちる」というケースが多発しました。また「日当たりの良い南側に大きな窓を設ける」という間取りが一般的ですが、これにより南側の耐力壁が弱くなり倒壊してしまうことも分かりました。このことを教訓に2000年に木造建築物の耐震性能が見直され、「継ぎ手・仕口の仕様」「耐力壁の配置バランス」「基礎の仕様」について明確な基準が定められたのです。

 

2007年(平成19年)|建築基準法の厳格化

2005年には「構造計算書偽造問題(姉歯事件)」が発覚しました。高層マンション等での設計偽装で構造が脆弱な建物が多数明るみになり、大きな社会問題として取り上げられました。これにより2007年に建築基準法改正が行われ、「建築基準値の確認手続きが厳格化」されることになったのです。国土交通大臣認定構造計算ソフトウェアが改良され、耐震偽装工作ができないシステムに変更されました。当初この事件は、姉歯元建築士ただ一人が起こした「特異な出来事」と思われていました。しかし背景には「コスト削減の圧力」「管理体制の甘さ」「下請重層構造」といった建築業界自体の抱える課題があります。国土交通省の報告書では「健全な建築社会の構築に向かって根本的で着実な取り組みも始めるべき」と述べられており、住宅・建築の真の品質確保が求められています。

 

まとめ|建築基準法改正でアップデート

建築基準法は社会状況や災害に応じてアップデートされており、2023年にも改正されます。耐震性能や強度は普段目に見えないものですが、人命を守るためには不可欠です。過去の教訓に学び、常に安全性を追及していく必要があるでしょう。

人気の記事

設計、設計監理、施工管理、コンストラクションマネジメントの違いについて

「倉庫、工場建築のお金のこと」 建設の資金調達方法は?そのメリット・デメリットも!

本当に現在の予算では、理想的な建物が建てられるでしょうか?

ご質問やお問い合わせ等お気軽にご連絡ください。