AGECブログ
今後建設価格は下がるの?上がるの?
2024 年4月に働き方改革の建設業、運輸業での猶予が切れる、いわゆる 2024 年問題をまもなく迎えます。
運輸業は、消費者に直接影響を与えるので、マスメディアで取り上げ、配送時間が遅れることや、価格上昇の危機感を煽っていますが、建設業はどうでしょうか。
住宅等の新築価格が上がっているというニュースは聞きますが、工場、倉庫、事務所、等々施設系の建設価格が異常に上がっていることについては、業界の中でしか話題になっていない気がします。
原材料が10%、20%上がり物価が上がり、マヨネーズが10円上がっただけで大変なニュースになるのですが、建設価格は数年前に比べ、40%から50%程度は上がっていますが、あまり話題になりません。こう書くと、建設会社は非常売上高、利益を多く取り業界としての印象が悪くなりそうですが、そうではないのです。
例を上げると、清水建設の 2023 年度決算予想が、売上高が数%上昇する予想ですが、営業利益が330億円マイナスになるということです。これはどういうことかというと、契約した時に原価を予想してプロジェクトを進めていくのですが、工事中にまだ発注していない原材料費や労務費が高騰し、利益がなくなってしまった現場が多く出たと予想されます。
日本の場合ランプサム方式(完工保証契約)契約が主流なので、契約後の契約金額の見直しが困難です。工期に関しても延期することが罰金対象になり、会社イメージと信頼があるので、それを避ける傾向になります。そういった中、発注者との折り合いが付かなければ清水建設のように上場来初めての営業利益がマイナスになるようです。逆を言えば、赤字をしてまでもお客様の信頼を守るという意気込みを感じます。
しかし、今の世の中、上場企業では外資ファンドや外国人投資家を集めたファンド会社が多くの株を所有しているので、意気込みだけでは生き残りができなくなっています。
こいった状況の企業が発生するのは、建設業は薄利で発注予想を間違える一気に赤字転落になるほど、原価に近い価格を見据えて建設請負額としているのが現状です。
話を戻しますが、2024 年問題で今後建設業はどうなるのか。
建設価格は原材料に比例しますが、労務費と管理費等の経費が増加すると考えられます。特に労務費に関しては、残業代と時間管理が全ての専門工事会社で行われていない企業や個人も多いので、労務管理と労働時間短縮の費用が上がると考えられます。
また、建設現場の4週 8 休を取ることによる直接経費、間接経費の増加が予想されます。労務の時間短縮で、1人あたりの給与が減少するので、人材が減少することも危機としてあげられます。それと、リーディングカンパニーである清水建設の例を建設業界全体が見ているので、利益の安全率も上げる可能性が大きく、全体的に建設価格は上昇することは当然のような気がします。
建設価格が下がるまでプロジェクトを進めるのを待とうという方がおられるのであれば、今が一番の底値かもしれません。