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コンストラクション・マネジメントは日本にフィットするのか

  • 2024.3.8

 

コンストラクション・マネジメント(以下CM)という言葉は、最近少しずつ浸透してくるようになりました。

私が起業した時には、聞き慣れない言葉で、設計事務所と何が違うということをよく聞かれましたが、今ではCM協会が少しずつ活性化され、最近では弊社でも協会名簿から問い合わせがくることも少しずつ増加してきました。 
さて、このCMとは、そもそも欧米で作られたコンサルティング業務であり、そこには欧米ならではの事情もあるようです。

日本では、建築の歴史は古く、現存する世界最古の木造建築である法隆寺が有名です。 
また、伊勢神宮を始めとする神社の式年遷宮なども、古来の建築技術を伝承することを一つの目的として行っています。 
ですので、自然と向き合い長期間に渡る建物を創り上げる棟梁が神職に近い存在であり、尊敬される存在で、大工に弟子入りをすることも地位として高い存在でした。

一方欧米では、エンジニアと労働者とはっきり区別され、労働者は奴隷性を利用した、人間扱いされない中での作業を行われる、分業するが主流でした。

その背景は今も名残はあるようで、日本での建設契約はランプサム形式で完工保証をする、欧米ではコストプラスフィー形式で出来高での契約が主流です。 
その背景を受け、欧米ではそもそも分業され、発注者を守るため、コストやスケジュール管理を細かく管理し、仕事を分離し、無駄を省く考えでCMができたと考えられます。

一方日本は、そもそも棟梁文化なので、協力会社(外注)であったとしても一つの物を作り上げていく仲間意識が強く、分業ではあるが気持ちや技術面では一体という考える建設会社が多いです。

では、なぜここに来てCMの知名度が上がって来たのでしょうか。 
それは、建設会社の人手不足による精神的な分業化と海外資本の企業が増加し、建設発注者リスクに対応できるコンサル会社として注目されてきているようです。 
海外の場合事細かく契約条件が書かれているため、それを読み通す日本の建設会社は数少ないです。

私は、日本での建設に関してはそれほど細かい指示は必要ないと思っています。 
なぜなら、細かい内容を書かなくてもかゆいとこまで手が届くのが日本の建設会社です。ただ、分業化が進んでいる中、建設会社も不足することも増えてきています。かゆいところを気づかせること、クライアントの要望をいかに伝えるのが、日本のCMだと感じています。 
欧米の電話帳のような契約書で創った建物と、日本式の数ページしかない契約書で創った建物、完成時どちらが素晴らしい建物か、海外と日本の建物を比較すればわかります。

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